自民党の裏金問題をめぐり39人に処分が下されたが、一部からは「軽すぎではないか?」との声も上がった。東京都立大学准教授で政治学者の佐藤信氏に「処分の軽重」と「有権者が見ていくべきポイント」について聞いた。
━━今回の処分をどう見たか?
「処分が適正かについては、それぞれの議員に具体的にどの程度の“ダメージ”があるのかを見ていく必要がある。例えば離党勧告という最も重い処分を受けた塩谷氏と世耕氏だが反応がまるで違った。なぜなら世耕氏は選挙区が磐石であり、党本部とうまくいっていれば自民党から対立候補が出ることもなく、当選できるからだ。場合によっては総理を目指して衆議院に移れるかもしれない。当選すれば“禊”は済んだということで復党できる。だからこそ世耕氏は処分をすんなりと受け入れ、党本部との関係を良好に保とうとしているのだ」
「これに対して、塩谷氏は処分に反発している。なぜなら、塩谷氏は前回選挙において比例で復活当選をしていて、自分の力で勝てていない。ましてや今回は逆風が吹いているため(小選挙区で)勝てるかどうかは極めて怪しい。党に属していなければ比例で復活はできない。すごく厳しい処分になっている」
「このような考え方で処分を見てみると、他の主要幹部は次の選挙で“禊”を終えてほぼ確実に戻ってくることができるため、全体的に厳しい処分とは言えないだろう」
━━岸田総理についは「自身の不記載がない」として処分の対象外となったが?
「本人の不記載がないことを理由にしているが、岸田派の代表であった事実は極めて大きく、この点に関する説明は全く足りていないため、これでは国民に納得しろというのは難しいのではないか」
━━今回の処分では納得できないという国民も多いと思うが、どのように捉えるべきなのか?
「そもそも政治資金規正は、政治活動が正しく行われるよう国民との関係において制度化されているもの。党内の規範ではない。そのため、政治とカネの問題があれば議員としてどう対応するかかが問われるべき。有権者としては選挙で審判を下していくことが基本的な考え方となる」
「また、最も重要になるのは今後自民党から出てくる政治資金規制法の改正案だ。再発防止を図れるような透明性のあるものが出てくるかどうか、我々はちゃんと見て、自民党がお金にクリーンな形で対等な競争をする政党かを判断していくべきだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側