高校卒業を待たずして大学に入学できる「飛び入学制度」。導入している大学を取材した。
千葉大学理学部・物理学科3年の西本光佑さん。「非平衡系統計力学」という分野を学んでいる。
実は西本さん。同じ学年の学生より1つ年下で大学3年にもかかわらずまだ19歳だ。「飛び入学制度」を利用して入学した。
飛び入学とは、高校卒業を待たずして大学に入学できる制度のこと。現在日本では千葉大学のほか、東京芸術大学や日本体育大学など10大学がこの制度を導入している。
高校時代、理系科目でトップクラスの成績だったという西本さんは高校2年生の12月に千葉大学の飛び入学入試を受験し合格。そして2022年4月、千葉大学に飛び入学した。
「高校生の頃から数学や物理が好きだが高校の範囲で理解できることには限りがあった。入試問題を解く訓練を続けるよりも、早く大学に行って専門的なことより勉強したかった」
西本さんはこの春からは、大学の早期卒業を目指し研究を行っていくという。
「特に神経、脳に昔から興味を持っていて、非平衡系の物理を脳の理解に応用できたら面白いなと思っている。大学院に進学して、研究者になりたい」
1998年、千葉大学は全国で初めて飛び入学制度を導入。「大学が定めた特定の分野で特に優れた資質をもつこと」と「高校に2年以上在学している」人が受験することができる。
入学後は一般の学部生と一緒に受ける授業のほか、千葉大学独自の「先進科学プログラム」というカリキュラムなど優れた分野を更に伸ばすため、勉学に励んでいる。
これまで、87人の卒業生を輩出し現在は13人が在学。彼らはなぜ、周りより一足早く大学に進んだのか?
「(飛び入学を)決断したのは高校2年生の9月。もともと研究者に憧れがあって、チャレンジしてみようと」(理学部物理学科3年 阿部亜結美さん・19歳)
「中学校の時に『ソードアート・オンライン』というアニメにハマった。VRとかを使って脳に直接信号を与えてゲームできるみたいな感じだったため、それ関係の研究ができたら」(工学部医工学コース3年 衣笠ジョシア海さん・18歳)
千葉大学先進科学センターの加納博文センター長。日本で飛び入学制度が導入された背景について、こう話す。
「すごく優秀である部分が尖っている高校生を一律の入試制度の中である意味杭を叩いてしまう。すごくやる気があって、伸びて行くことが分かるような高校生たちを1年早く迎えて、世界に羽ばたく研究者に育てていこうと」
しかし現在、日本で制度を導入している大学はわずか10校。飛び入学が広まらないのはなぜなのか? 加納さんは制度そのものの認知度の低さを上げた上で次のように話す。
「高校の先生たちがあまり勧めないことが一因かもしれない。高校2年生段階で千葉大学に入れるぐらいの力量がある人たちは、もう1年勉強すればランクの上の大学に入れるのではと」
一方、これまで認められていなかった高卒資格を取得できる制度を文科省が創設するなど飛び入学を取り巻く環境が変わりつつあると加納さんは話す。
「多くの学生が優秀な研究者・エンジニアになっていることを知ってもらいたい。グローバルな研究を推進していくリーダーになってほしい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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