今月16日、離婚後の「共同親権」を新たに認める民法などの改正案が、一部修正されたうえで衆議院の本会議で与党などの賛成多数で可決された。改正案は、離婚後、父母が協議して「共同親権」も選択できるようにするもの。虐待・DV被害などへ懸念の声があがる中、当事者たちはこの動きをどう見ているのか。2023年12月に『ABEMA Prime』が取材した、共同親権に期待と不安を覚える女性の声を紹介する。
■いまなお"命の危機"感じたまま…DVで離婚 共同親権へ「恐怖でしかない」
度重なる夫の暴力から逃れるため、当時1歳だった子どもを連れ、家を出た30代の女性。裁判で離婚が成立し、今は親権を持っているが、子どもと元夫を会わせることに神経をすり減らしている。
「住所の秘匿をしているが、子どもが5歳で、通っている幼稚園や近所のバス停の名前などをしゃべってしまう。"お父さんに言っちゃ駄目だよ"という負担は子どもにはかけられない。面会交流のことを考えるだけで胃が痛くなるし、書面が届くだけで夜も眠れないくらいフラッシュバックする」
DVの恐怖と関係がこじれてしまったこの状況で、共同親権は難しいと考えている。「私たちは高裁まで争っていた紛争性の高い元夫婦。お互いへの信頼はなく、こちらは命の危険を感じている。同意の上で共同親権を持ちたいと言っている状況なら分かるが、法律で一緒くたに強制させられてしまうのは怖い」と話した。
■元夫が子を連れ別居し係争中「私が親権者じゃないということで児相も取り合ってくれない」
一方で共同親権導入の必要性を感じているのが、30代のあかりさん。「DVがない家庭であれば共同親権がいいと思う」と話す。その理由とはー。
結婚当初から元夫の暴力被害に遭っていたあかりさん。"元夫を親権者"とする離婚届に無理やりサインさせられ離婚。だがその後も軟禁状態での暴力は続き、これが原因で、元夫は傷害罪で警察に逮捕される。
これを機に元夫と別居することになるも…ある日、面会に来た元夫が子どもをそのまま連れて行ってしまったのだ。「今でも子どもに会えておらず、どういう状況なのか、どこにいるのかさえも分からない。子どもに会って話をしたい。抱きしめたい」
あかりさんは単独親権であるゆえの苦悩をこう語る。「単独親権だから奪い合いが起こり、一方的に連れ去られ、子どもが辛い思いをしている。私は親権者じゃないということで、児童相談所に電話をしても断られてしまう。子どもは私がDVを受けていたことを知っていて『怖くて言えなかった、誰にも相談できず1人で泣いていた』と言っていた。子どもの心のケアをしたいのに、相談さえさせてもらえなかった」
共同親権の導入は親子にとって最善の形なのかー。法案はいまの国会で成立する見通しで、2026年までに施行される。(『ABEMA Prime』より)
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