Xで炎上・トレンド入りしている「産休クッキー」と「さす九」がバズった背景について、専門家に聞いた。
「産休クッキー」とは、産休に入ると思われる女性が会社に配るクッキーの写真を投稿したところ、「不妊治療中の人への配慮が足りない」とか「産休とるのにクッキーを配らないといけないなんて」「育休クッキーは好評だった」など、様々な投稿が相次いだ。
“Xという場”に対し、明星大学心理学部教授で臨床心理士/公認心理師の藤井靖氏は「それが良いことかどうかは別としてXは“揉める場”でもあり、X上では平常運転だ。炎上させる人がいたりツッコミどころを探している人が一定数おり、個人的には、Xは“交わるべき人じゃない人同士が交わっている”と見ている」と解説。
その上で今回の投稿に関して「投稿者は本当に悪気なく日常を投稿したのだと思うが、SNSではなく現実場面においても賛否が分かれるのでは」と述べた。
さらに藤井氏は「例えば職場において、ある人から『嫌われてない』と何となくわかった際に『好かれている(好意的に見られている)』と考えがちだが、それは勘違いの可能性がある。好きと嫌いの間には『普通』があり、好きでも嫌いでもない人が山ほどいる。そんな自分に対して『普通』と思っている人に『自分に好意があるはずだ』などと勘違いして、人によって心の温度差があるテーマに触れるようなことをしてしまうと『え?』と引かれてしまうのは当たり前のことだ」と説明した。
■地域の文化はその地のマジョリティーが作っている
「産休クッキー」と同じく、Xで炎上した「さす九」とは「さすが九州」のことで、妻が同じ食卓に座ったことを夫の父親が批判した、という投稿から九州出身男性に対する様々な声が上がったのだ。
これに対し藤井氏は「外から何か言うのは違う」と指摘。
「九州で暮らしている方は、仮にそこにある文化の中で不満はあったとしても、一定程度それに満足している。また『不満しかない』という場合も、何らかの事情でそこを離れられない人は、自分の心を守るためにポジティブな部分を探そうとする。周りから批判されると、その世界で生きてる人たちは怒るのは当然で、外の人はその地で暮らす人々を尊重すべきだ」
その上で藤井氏は「地域の文化はその地のマジョリティーが作って守っているため、そこに合わない、嫌だなと思う人は基本的に別の他に移っている。そのため、移った人と留まり続けている人はあまり価値観が合わない傾向にある」と解説した。
男女平等の観点については「近年、ポリコレ的な価値観で『男女平等を志向していない地域は時代に乗り遅れている。時代錯誤だ』などと言われることもあるが、本当にそうなのか? 方言や地方文化は比較対象ではないし、上下があるわけではなく、それぞれがよければいいはずだ。価値観の押し付けるのはおかしいし、どこまでいっても分かり合えない事柄があるのを受け入れるべきだ。嫌なら、そっと距離を置くのが現実的な態度だ」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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