栃木県那須町で焼けた男女の遺体が見つかった事件で、25歳の男が逮捕された。事件をめぐっては、逮捕前からいくつもの「謎」が浮かび、容疑者逮捕に至ってもなお消えずにいる。多くの凶悪事件を捜査してきた、元徳島県警警部の秋山博康氏が分析する。
目撃者や捜査関係者などによると、2人はあおむけで重なるように倒れ、顔に粘着テープをグルグル巻かれ、手は縛られていた。遺体のすぐそばではガソリンなどを入れる携行缶のような容器が焼けていたという。2人とも首を絞められた窒息死で、女性は頭蓋骨を骨折していた。
なぜ遺体を山中に捨てたのか。東京から遺体発見現場まで約150キロあり、現場近くの住人は「よほどわかっている人しか来ない」土地だと語る。秋山氏は、2人は別の場所で殺害されたと見ている。「周辺に土地勘があったのだろうが、河川敷や小さなダムがあるとまでは知らないと思う。ご遺体が2体もトランクにあり、早く捨てたいと、この場所を選んだ」。
なぜ犯人は遺体を燃やしたのか。火を放つ犯罪心理を、明星大学心理学部心理学科の藤井靖教授に聞く。これまでの犯罪から分析すると、理由には「証拠隠滅と、対象者への恨み」があると語る。
「燃やす行為は、相手に対しての攻撃性の表現。火をつける行為は、自分の劣等感に基づく不満の発散などの心理が背景にある。異常に権力や名声を欲する、そういうものが火を放つ犯罪を犯しやすいと考えられる」(明星大学・藤井靖教授)
プロの犯行か否か。複数人による犯行とされるが、秋山氏は殺害に慣れた集団ではないと予測する。
「知識がない。『これくらいのガソリンだったら骨になるだろう』と準備して持ってきたけれども、一部しか燃えなかった。燃えてビックリして、早く逃げよう。だから携行缶を忘れる。いつも顔を合わせる知人が犯人であれば、顔を見たくないと隠すことは多い。『顔を見ると腹が立つ』と、グルグルに巻く犯人もいる」(秋山博康氏)
秋山氏によると、「殺害後は人通りが少ない、見えにくいところに捨てたいという犯人の心理がある」という。また殺害後は「殺害現場の近くよりは、遠方に離れたがる」傾向がある。
「山に埋めるには労力がかかり、焼くことに決めたと思う。『骨だけになれば身元も特定しにくいだろう』と証拠隠滅したが、素人のためガソリンが足りない。人間は水分がほとんどで、火を付けても燃えない」(秋山氏)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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