大手航空会社で女性として初めてトップに就任した日本航空の鳥取社長がインタビューに応じ、女性の登用や男性の客室乗務員を増やす方針など多様性推進の方針を明らかにした。
「こんなことになるんですね。インタビューとは…」(鳥取社長、以下同)
今月1日に日本航空のトップに就任した鳥取三津子社長。初めてメディアの個別インタビューに応じた。
社長への就任が発表されたのは1月。大手航空会社の社長では女性は初、客室乗務員出身も初と、異例づくしの人事と言われた。
「自分自身は女性だからという特別な感情はほとんど持っていない。いち人格としてあたっていきたい。できれば早い段階で『女性の社長ですね』と取り立てて言われることがないような状況になることを望んでいる。普通に女性も社長になれるような、そういう世界が早期に来るといい」
人事が発表された2週間ほど前には、羽田空港で日本航空機と海上保安庁の飛行機が衝突する事故が発生。客室乗務員らが乗客を冷静に誘導する様子が国内外から注目を集めた。
「(乗務員に)羽田に行ってたまたま会えれば、良くやったねと伝えたい。無事に全員脱出ができた素晴らしい事例だったとは思うが、当然100点ということはきっとない」
この事故では日航機の乗客乗員は全員無事だったが、海保機に乗っていた5人が亡くなった。
「訓練に生かしたり、もっとステップアップ・進化できることがあれば教訓をしっかり生かしていきたい」
1985年に入社してから客室乗務員として30年あまりのキャリアを重ね、およそ7600人の客室乗務員を率いる担当役員などを務めてきた鳥取社長。女性のキャリア形成を支援する仕組みづくりなどについても推し進めてきた。
「女性がライフイベントを経て戻ってくるときに戻りやすい仕組みは非常に大切だと思っている。期間が空いても前に積んだキャリアをそのまま踏襲できるようにしたり、子どもがいても短時間勤務をいくつか用意したり。それぞれの生活に合ったチョイスができる仕組みを整えてきた」
こうした取り組みで、経団連が2027年までと目標に掲げる女性管理職の比率30%を、来年3月末までに前倒しで達成できる見通しだという。
「管理職になるためにどうやっていくか、互いに話をしながら、ちゃんとキャリアを一緒に考えながらやっていくことも丁寧に進めている」
多様な人材を活かす取り組みは他にも。
この春に入社した客室乗務員のうち男性はおよそ5%。全体ではわずか1.7%しかいない。海外の航空会社に比べ日系は、まだまだ少ない状況だが。
「徐々に増えている。特に上限などは設けていないので、是々非々で選んでおり、増えてくることを私どもも願っている。数値目標は持っていないが、男性の皆さんにも客室乗務員という仕事を知っていただいて、良い仕事だなと思っていただけるように私達ももっとアピールしていきたい」
厚生労働省の調べでは、管理職に占める女性の割合は12.7%(2022年度雇用均等基本調査)と低い現状にある。
初の女性社長が誕生したJALついて、琉球大学工学部教授でベンチャー企業「H2L」創業者の玉城絵美氏は「JALは男性の客室乗務員をもっと登用していくなど、多様性を認めていく姿勢がある。そんな姿勢を見せていかなければ就活生も『多様性が認められないなら、自分は活躍できないのでは』などと不安になるはずだ。多様性を認める姿勢を示し、そういった会社に就職したい方々が増えることで、競争力・生産性の向上に繋がる。日本全体にそういった意識を作っていきたい」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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