将棋の第9期叡王戦五番勝負第3局が5月2日、愛知県名古屋市の「名古屋東急ホテル」で行われ、藤井聡太叡王(竜王、名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、21)が挑戦者の伊藤匠七段(21)に146手で敗れた。シリーズ成績は藤井叡王の1勝、伊藤七段の2勝となり、挑戦者が初タイトルに“王手”をかけた。決着か、藤井叡王が底力を見せつけ追いつくのか。勝負の第4局は5月31日、千葉県柏市の「柏の葉カンファレンスセンター」で行われる。
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藤井叡王が、重要局に敗れ“八冠陥落”の危機を迎えた。前局で黒星を喫して迎えた本局では、藤井叡王の先手で得意の角換わり腰掛け銀を志向。後手番の伊藤七段も用意の作戦をぶつけるように勝負に挑んだ。両者の指し手は速く、挑戦者ペースで一気に中盤戦へ突入。昼食休憩を前に藤井叡王が放った香打ちの一手で伊藤七段の手が止まった。
ここから藤井叡王はスピード勝負の攻め合いを決断。際どくも強く踏み込み伊藤七段へと迫った。あっという間に迎えた秒読みでは、混戦から藤井叡王に誤算が生じたか、伊藤七段が逆転。再び優位に立つと、巡ってきたチャンスを離すまいと先手玉へ猛攻を仕掛けていった。終盤の鬼とも言える藤井叡王は勝負勝負と厳しい手を重ねたが、伊藤七段は冷静さを失わず。正確な寄せに、藤井叡王の必死の粘りも叶わず投了を告げた。
この結果、シリーズ成績は伊藤七段の2勝1敗に。藤井叡王は2020年の棋聖戦に初挑戦して以降、同一シリーズで連敗することなく防衛と奪取を重ねてタイトル数を21期まで伸ばしてきたが、本局で初連敗、初めてカド番に追い込まれることとなった。
黒星を喫した藤井叡王は「終盤がかなり読めていないところが多かったので、結果にも出てしまった。難しい将棋だったが、中盤から終盤に入るあたりは何か手段があってもおかしくなかったかなと思う。そのあたりで間違えてしまったのは課題が残るところ」とコメント。苦しい星取りに「カド番にはなったが、やることは変わらない。しっかり準備して頑張りたいと思います」と前を向いた。
藤井叡王が本シリーズで敗退した場合、失冠と同時に“八冠”から陥落することになる。次戦で伊藤七段がタイトル奪取を決めるのか、藤井叡王が絶対王者としての貫禄を見せつけるのか。目の離せない第4局は5月31日、千葉県柏市の「柏の葉カンファレンスセンター」で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)