崩れ落ちる相手に放った妥協なき連打にボクシング元日本王者が思わず「倒れながらのカウンターは危ない」と口にした衝撃KO。連敗から約2年ぶりの復活勝利へ悲壮な決意を感じさせる劇的ラストだった。
4月28日に後楽園ホールで開催された「Krush.160」で、佐々木大蔵(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と寺嶋輝(TANG TANG FIGHT CLUB)が対戦。試合は1ラウンド後半の怒涛のラッシュであっけない幕切れとなった。佐々木がパンチの連打で寺嶋を完全KOし、約2年ぶりの勝利で復活をアピールした。
K‐1代表とKrush代表による4対4対抗戦の第2試合。大会当日に綱引きで対戦相手を決める実験的な試みに、現在3連敗中の佐々木がK-1代表としてエントリー、約2年ぶりとなる寺嶋との再戦に臨んだ。二人はかつて佐々木のKrushスーパーライト級王者時代に対戦、その際は王者佐々木が寺嶋をKOしている。
ゴングとともに一気に詰める佐々木に対し、寺嶋は遠距離から前蹴りを飛ばす静かな立ち上がり。互いにローを飛ばしあい、飛び込んだ佐々木がバックブローを放つが空を切る。
空手ベースの寺嶋はサイドキックから、右に踏み出してスーパーマンパンチでヒット・アンド・アウェイなど変速的な攻撃。しかし佐々木はペースを乱されることなく、ジワジワと相手をコーナーに追い込みガード横からえぐるような右を連打。さらに離れ際に左と厳しい攻撃を続ける。
佐々木は寺嶋が首相撲に持ち込んでも、お構いなしでボディに追撃。組みの場面で上から鉄槌とやや荒っぽい攻めを見せ、右ミドルから左右の連打で最初のダウン。近距離の連打で腰から落ちた寺嶋は、一度立ち上がろうとするが足元がグラグラ。レフェリーに抱えられるとゴングが打ち鳴らされた。
2022年6月に同じ寺嶋をKOで下して以来、ほぼ2年間勝利から見放されていた佐々木は「10連勝から3連敗、凄く暗闇の中というか…そんな1年半だったんですけど、続けてよかった」と感極まった様子。
KOシーンでは、すでに落ちかけている寺嶋へ対して本能でパンチを打ち続ける佐々木の猛攻に、ゲスト解説を務めたボクシング元日本スーパーライト級王者の細川バレンタインは「倒れながらのカウンターは危ないよ…」とポツリ。そんな冷酷な姿からも勝ちへの執念が感じられた見事な復活勝利だった。