表情は穏やかに、心の内はメラメラと。プロ麻雀リーグ「朝日新聞Mリーグ2023-24」ファイナルシリーズ5月9日の第2試合は赤坂ドリブンズ・渡辺太(最高位戦)が今シリーズ初トップを獲得。負ければ優勝が遠のく崖っぷちで、息を吹き返す値千金の勝利となった。
第1試合ではエース園田賢(最高位戦)が2時間20分というロングゲームで奮闘するも3着。首位U-NEXT Piratesがポイントを守る以上、ここでトップを取らねば先が見えてこない。この要所を任されたのは今期幾度となく窮地を救ってきた渡辺だ。当試合は起家からKADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)、EX風林火山・勝又健志(連盟)、渡辺、U-NEXT Pirates・瑞原明奈(最高位戦)の並びでスタートした。
東1局、渡辺は堀との2軒リーチを制して満貫ツモと快調な滑り出し。さらに東3局はカン6索という窮屈な待ちのリーチながら、終盤にツモってリーチ・ツモ・赤・ドラの1万2000点をゲット、これで大きく抜け出した。南2局、ラス目に沈んでいた勝又に親跳満をツモられると、同2局2本場はその勝又とリーチでめくり合いの展開に。放銃すれば大ピンチというこの場面で、渡辺はそっとアガリ牌の二万を引き寄せた。リーチ・ツモ・赤・ドラの8000点(+600点)を決め、辛くも逃げ切り。試合後はカメラの前を通り過ぎる際にも笑顔はなし、心の内に秘めた炎の勢いが収まらないという様子だった。
勝者を決める最後のステージ、楽な試合運びなどありえない。「リードしたところから三者にジリジリと詰め寄られるような感じで、結構苦しい半荘だったので、皆さんの力を感じました」と、この舞台で戦うことの難しさを改めて実感した渡辺。「トップという結果は素直に喜びたいと思います」と口にすると、ようやくファンへ白い歯を見せた。
残すは10試合、全てが直接対決である以上、まだ希望は残されている。渡辺は最後に「やはりトップを取るところが最低条件。ビハインドということもあって、他のチームも争っている相手にトップを取られるくらいだったら、もしかしたら(赤坂ドリブンズを)押し上げてくれるような展開もあるかもしれない。まだまだ可能性はあると思っています。残り10戦、前を向いて戦っていきます」と冷静に先を見据えた。
ここで渡辺が語ったことは、まさに2020-2021シーズンでEX風林火山が“下剋上”の初優勝を決めた展開だ。当時はファイナル開始時点で300ポイント以上離されていた渋谷ABEMASを追い勝又健志(連盟)が連戦連勝、劇的な逆転Vを決めた。静かに闘志を燃やす渡辺がまず反撃の口火を切った。
【第2試合結果】
1着 赤坂ドリブンズ・渡辺太(最高位戦)3万4900点/+54.9
2着 EX風林火山・勝又健志(連盟)2万7200点/+7.2
3着 U-NEXT Pirates・瑞原明奈(最高位戦)2万4700点/▲15.3
4着 KADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾(協会)1万3200点/▲46.8
【5月9日終了時点での成績】
1位 U-NEXT Pirates +305.8(6/16)
2位 KADOKAWAサクラナイツ +185.2(6/16)
3位 EX風林火山 +127.8(6/16)
4位 赤坂ドリブンズ ▲25.8(6/16)
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)