将棋の藤井聡太名人(竜王、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)に豊島将之九段(34)が挑戦する第82期名人戦七番勝負第4局が5月18・19の両日、大分県別府市内で指され、3連敗で後が無かった豊島九段が95手で待望のシリーズ初勝利を飾った。最終盤では、豊島九段が気迫に満ちた表情で盤をにらむ様子がファンの間で話題に。「迫力の瞬き」「すごい読んでる」と多くのコメントが寄せられていた。
3連敗で後が無かった豊島九段が、反撃の1勝をもぎ取った。別府温泉を舞台に行われた第4局では、先手の豊島九段が後手横歩取りに誘導。渾身の作戦からリードを押し広げて待望の勝利を掴んだ。「内容は精査してみないと分からないですが、5局目に繋がったのは良かったと思います」。言葉は冷静ながら、そこには明らかな安堵の表情が浮かんでいた。
じりじりとした戦況が動いたのは、2日目の夕方から。藤井名人は「受けに回っても受け切れない気がした」と攻め合いを選択し、簡単には相手に決め手を与えない指し回しで対抗。混戦へと持ち込む道を模索していた。互角の状態で終盤戦へ突入したが、藤井名人の表情は冴えない。ハードスケジュールでトップ棋士たちと対戦し続けることは強者の宿命とはいえ、その疲労の色は濃くなり、がっくりと肩を落とす場面もあった。
藤井名人の苦悩の表情とともに、話題を呼んだのは豊島九段の表情だ。第1、2局でも藤井名人を追い詰めたものの、接戦を落としていた豊島九段。本局では絶対に同じ道を辿らないという強い決意をみなぎらせていた。日頃、大きく表情を変えることの少ない豊島九段ながら、この時ばかりは別。目を見開き盤を注視する様子には、「迫力の瞬き」「すごい読んでる」「めっちゃ瞬きしてる」「すごい圧力」と視聴者も圧倒されている様子だった。
この結果、豊島九段は待望のシリーズ初勝利を手にするとともに、2024年度白星、さらに対藤井名人の連敗数が「12」で止めることとなった。逆襲の1勝を飾ったことにファンも歓喜し、「フェニックス オブ 将之」「序盤の作戦から見事だった」「よくやった」「とよぴーおめでとう!」「豊島曲線!」「流石でございます」と祝福のコメントが殺到していた。
しかし、シリーズ成績は1勝3敗と依然として崖っぷちに立たされている現実には変わりはない。それでも、豊島九段とファンが“5期ぶりの復位”を見据える目標も揺るがない。終盤戦に突入するシリーズがどのような結末を迎えるのか。注目の第5局は、5月26・27日、北海道紋別市の「ホテルオホーツクパレス」で指される。
(ABEMA/将棋チャンネルより)