【写真・画像】消滅可能性自治体=ダメな自治体? 小林史明議員「行動変容を促すのは“恐怖を煽ること”ではない」 “ボトルネックは結婚難”と主張の笠間市長「国が動かないと進まない」 1枚目
【映像】笠間市の人口推移グラフ(1955年〜)
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 少子高齢化、人口減少が進む日本。そんな中、先月発表され物議を醸したのが「消滅可能性自治体」。有識者グループの人口戦略会議が公表した、2050年までに20〜39歳の女性がいまの半数以下となる全国744の自治体に消滅の可能性があるという分析だ。

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 全体の約4割が消滅の危機にあるとする衝撃の結果に、複数の自治体の首長らが反論の声を上げている。島根県の丸山達也知事は「東京一極集中」に問題の根本があると反論し、全国町村会も「一面的な指標の線引きで、これまでの地域の努力や取り組みに水を差す」と不快感を示した。

 10年前に消滅の可能性を指摘され、今回、脱却した茨城県・笠間市の山口伸樹市長は「消滅可能性」とレッテルを張ること自体が対策に取り組む地方自治体を不安にさせ、意欲を低下させかねないと指摘。「言葉だけがおどることのないよう文言の見直しを強く求める」と主張する山口市長とともに、『ABEMA Prime』で議論した。

■小林史明議員「行動変容を促すのは“恐怖を煽ること”ではない」

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 今回公表された「消滅可能性自治体」という言葉に対し、山口氏は「地方の自治体は単独で乗り越えられない。国や県の事業が入っているとか、地理的条件などで、自分たちの努力だけでは変えられない」と主張。10年前には「笠間市はなくなるんですね」と言われたと振り返り、「指摘された自治体にとっては不本意で、努力している首長を追い詰めるような言い方だ。数字的なデータの重要性もあり、調査自体は否定しないが、文言を変えるべきではないか」と語る。

 自民党で元デジタル副大臣の小林史明衆院議員も「言葉がよくない」としつつ、「『若年女性でないと子どもが産めない』ような古い考えはどうなのか。テクノロジーの進展などを考慮したほうがいい。また、危機感を持たせるには“恐怖を煽る”ことが的確なのだが、行動変容を促す時は“不安解消と希望の提示”が重要だ」と指摘。

 自治体が生き残る方法として合併も考えられるが、小林氏は「反対」の立場だという。「自治体が約1700ある中、水道の維持・管理は約1300の自治体でバラバラに行われている。これを共通の運営体制にするだけで、毎年1400億円が浮く試算がある。インフラを1つにまとめつつ、“企画部門”は現地に置くほうがいい。それができる時代になった」。

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 さらに、「地域のカルチャーなどによって女性の自己実現を認めない地域は、どんどん人口が流出する。逆に、小さな自治体でも応援している所には残る。そうした工夫の仕方を考えるべきだ」との考えを示した。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は、地方の閉塞感を実感しているという。「同世代の男性からは『女の子なのに出世したいの?』、高齢の男性からは『女が意見するな』などと言われる。こうした雰囲気を自治体で変えられるイメージができない。東京は家賃も物価も高いのに人口が多いのは、そういう背景があるのではないか」と問いかける。

 山口氏は「女性を転出させないためには、『多様性ある自治体』の考え方が必要だ。男女ともに働き方がしっかりしていて、どんな産業でもチャレンジでき、起業もできる。そういう環境づくりが女性の定住促進のひとつだ」と答えた。

■山口氏「結婚難は国が動かないと進まない」

 ボトルネックとなっているのは結婚難で、「結婚難は国が動かないと進まない」というのが山口氏の持論だ。非正規化や給与の男女格差、低所得問題の解消など「経済面の支援」と、事実婚・夫婦別姓・同性婚といった多様化への対応など「制度・慣習面の変革」が背景にあり、自治体にやれることは限られると語る。

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 笠間市でも「15年前から見て、結婚件数が半減している」という。「自治体の少子化対策は、結婚後に子どもが欲しい、もしくは子どもができた夫婦に対して行われている。しかし、結婚観が変わり、結婚を望まない人が増えている。婚外子が日本で認められにくい中、価値観をどう理解してもらうかはなかなか答えが出ない問題だ」と苦悩を明かす。

 小林氏が考える少子化対策は、「パートナー制度の法的担保」だ。「周囲で結婚したい、もしくは一度離婚してパートナーがいる同世代は多い。『もう1回結婚するなら子どもが欲しい』と思っても、今のパートナーと再婚すると相手側の家族が付いてくると尻込みしてしまう。離婚時の大変さを考えると、一緒に住むだけでいいのではとも感じるが、それでは子どもの権利が保護されないからと出産を諦める人もいる」。

 その上で、「病院に寄り添えたり、一緒に避難所に入れたりなどの権利が担保されるか。今の結婚制度と事実婚制度の間には、3つ、4つ程度しか差分がない。そこを法的に担保すれば、パートナーと暮らし、子どもを育む自由度は格段に上がる」と訴える。

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 一方、17年間の専業主婦を経て外資系企業で働く薄井シンシア氏は、「それらを全部やって女性が子どもを産みたいと思うかどうかだ」と問いかける。小林氏は「希望出生率は1.8あり、希望者が出産を叶えられるだけでかなり少子化は止められると思う」と応じた。

「とはいえ、どれだけ革命的な対応をしても、2060年ごろまでは人口減少社会は避けられない。それでも回る行政の仕組みは作らなければならない。民間も同様に人手不足は解消しないだろう。ただ、この先は明るいと思っている。人の数は減っても、今のままの仕事量ができれば、1人あたりの給料は増える。AIやロボットを使い、仕事のやり方を変えれば、この国は成長する」

(『ABEMA Prime』より)

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