【写真・画像】「危ないドローンは撃ち落とすべき」  東京タワー“違法空撮”映像が物議… 確信犯に規制は通用しない?佐々木俊尚氏「テクノロジーはグレーゾーンがあるからこそ発展する」 1枚目
【映像】東京タワー上空を旋回、急降下する実際の動画
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 バルコニーから飛び立つドローン。東京タワー上空を旋回し、すれすれを急降下する。これは先日、外国人とみられる男性がInstagramに投稿した動画。迫力満点の映像だが、これを見た人たちからあがったのは疑問の声。東京タワー周辺は飛行禁止空域で、ドローン撮影には許可が必要だ。『ABEMA Prime』の取材に国交省の担当者は「許可した記録はない」と回答し、航空法に抵触している可能性が高いという。

【映像】東京タワー上空を旋回、急降下する実際の動画

 諸外国よりもドローン規制は厳しいはずの日本で、なぜこんな簡単に撮影できてしまうのか。規制の是非と現状について、専門家と考えた。

■現在の規制は愉快犯や外国人には通用しない?

 今回の映像について、慶應義塾大学SFC研究所上席所員で安全保障アナリストの部谷直亮氏は「友人でハッカーの量産型カスタム氏さんなんかが言っているのは、ドローン特有の魚眼カメラで撮れる映像というのと、補正機能などで少し変に見えること。そして、そもそもこれをCGで作ったらいくらかかるのかという点で、インスタにあげてペイできるかだ。いずもの時にもフェイク説が出たが、ドローン特有の映像を知らない人たちが言っている」と、当該の映像が本物である可能性が非常に高いと指摘。

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 ドローンレース日本代表監督でJMAドローンスクール東京講師の白石麻衣氏もフェイク説を否定。「一般的なドローンはひっくり返ったりできないが、FPV(First Person View:一人称視点)ドローンやレースで使うようなものだと、どの角度でも飛べる。映像もゴーグルで見ることができる」と説明する。

 ドローンが使える周波数帯は「2.4GHz帯」で、無資格・無免許で使用が可能。しかし、スマホやWi-Fiなど様々な機器でも使用できることから混信の懸念があり、「電波のゴミ箱」とも言われる。そのため、「違う周波数と出力で飛んでいるという印象が、海外の専門家との話でも出る」と部谷氏。

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 さらに、現在の規制は愉快犯や外国人など“そもそも法律を守る気がない人”“規制の存在を知らない人”には通用しないとしている。それは今回の東京タワー動画も同じで、日本の周波数規制では遠距離操縦やリアルタイムの映像送信は困難であること、使用されたタイプのFPVドローンは事前申請が必要だが守られていないと指摘する。

 白石氏は「職業でドローンを扱う方は法律を守っているが、こういうことが起こると、国は“ルールを厳しくしましょう”となる。外国の方たちはそんなに知らなかったり、気にしなかったり、悪いことをしようとする人は関係なく飛ばして、我々の飛ばす所がなくなっていく」と懸念を示した。

■部谷氏「危ないドローンは撃ち落とせ」、白石氏「日本は独自のルール感」

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 ドローン規制法は度々強化され、総理官邸や国会、皇居など国の重要施設、外国公館等、防衛関係施設、空港、原子力事業所の300メートル以内の上空の飛行を禁止しているが、部谷氏は「社会が拒絶してきた影響もある」と話す。

「ドローンが飛んでいると盗撮しているとか、国交省許可済みのビブスを着ていても通報する人がいたり、“あやしい”という見方をする。YouTubeに動画をあげると『法律を守っていますか?』『ちゃんと申請しましたか?』『違法ゾーンじゃないですか?』というコメントがつくことも多い。そういった日本社会の難しさが規制を強めてしまったのではないか」

 作家・ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「テクノロジーはグレーゾーンがあるからこそ発展する。かつての日本はそれこそテクノロジー立国だったが、2000年代に入るぐらいからみんなが“怖い”と言う風潮になった。AIやテックの話で企業公演に行くと、質疑応答で必ず『佐々木さん、怖いですね』と言うわけだ。これが日本社会におけるテック推進の著しいハードルになっている」と指摘。

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 そんな中、「危ないドローンは撃ち落とせ」というのが部谷氏の提言だ。現状の規制では警察や自衛隊の装備にも制限があるが、強力な妨害電波を発する「ジャミングガン」、「制空ドローン」などを導入し、問題あるエリアに入ったら撃ち落とす能力と権限を与えること。それと併せて補償制度も整備すべきとしている。一方で、国民全体がドローンを理解するために規制は緩和すべきとも主張。

「今でも撃ち落とせる法律はあるが、急迫不正の侵害がないとダメだ。現場の自衛官が躊躇するのは、落とす時に“これがテレビ局のものだったら”“工事会社だったらどうしよう”ということ。ただ、観光客を偽装して飛ばしてくる工作員もいるので、無実のドローンだったら国が補償する。その上で“どんどん落としてください”と言うほうがいいのではないか」

 白石氏は「古くからある電波法を改正せずに使っているので、発展させるならそこをもう少し考えてほしい。海外だと申請なしで飛ばせるのは重さが250gまで大丈夫だったりするが、日本は100gまで。海外の人もおそらく、“自分の国ではセーフだから、日本も大丈夫だろう”と思って飛ばして違法になっているので、国際基準に沿ったほうがいいのではないか。日本は独自ルール感がすごくある」との見方を示した。(『ABEMA Prime』より)

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