【写真・画像】“コミュニケーション禁止”の孤独対策「ぷらっとば~す」に臨床心理士「交流自由にしてネガティブな体験になることも」「誰でもいいから繋がりたいわけではない」 1枚目
【映像】自分の名前設定で会話 「ぷらっとば~す」の画面
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 内閣府は5月の孤独・孤立対策強化月間の中でメタバース空間を活用した「ぷらっとば~す」を開設。だが、コミュニケーションが禁止であることや開設時間が午前10時から午後6時までと限定されていることに賛否の声が上がっている。

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 「ぷらっとば~す」の課題はどこにあったのか? 明星大学心理学部教授で臨床心理士/公認心理師の藤井靖氏と考えた。

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 パソコンやスマホから完全匿名で入場可能でき、ユーザーはロールプレイングゲームのような画面でキャラクターを操作できる「ぷらっとば~す」について藤井氏は「国レベルの大きな取り組みとして孤独・孤立対策が具現化したことについては評価すべきだが、利用者のニーズを捉えるという点に関しては疑問符がつく」と述べた。 

 メタバースの可能性として、藤井氏は「例えば不登校で全く学校に来れず、連絡もつかない子もネットならばアクセスしやすい、というケースはあるだろう。そのため、私も去年からメタバースを使った支援を自治体と連携して行っている。デジタルからリアルに繋がることも、あるいはデジタルだけで完結することもあるだろうが、国にもその可能性をさらに追求していってほしい」と述べた。

 しかし、藤井氏は「そもそも、孤独・孤立支援のターゲットになるような人は相談したいと思っているのか?」と疑問を投げかけた。

 「客観的には孤独な人に対する相談先があって、そこに繋がって何らかの問題解決に結びつけばいいと考えがちだが、実際当事者の声を聞くと、“相談したい”というより『信頼できる誰かと話したい』、あるいは“誰でもいいからつながりたい”というより、『自分と気が合う誰かと出会えれば繋がりたい』と思っていることが多い。そのため、『ぷらっとば~す』のような場に来ても孤独を解消するのは難しいだろう」

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 藤井氏は「メタバース空間に入れる人も孤独・孤立に苦しむ人に限定しない方がいい」と提案。

 「内閣府の意図もやりたいこともわかるが、そもそもターゲットになるような方は『あなた孤独・孤立ですよ』とラベリングされたようで、認めたくない心理もあるだろう。“誰でも入れるメタバースの場”を謳ったほうが結果的には孤独・孤立の解消につながる可能性がある。さまざまな属性の人が集まって、その中で実際に孤独・孤立に苦しんでいる人もいろんな人と繋がっていくといい」

 とはいえ、孤独・孤立に苦しむ人が「最初の一歩」を踏み出すことは簡単ではない。

 藤井氏は「孤独・孤立の人は中高年の割合が高く、デジタル空間にハードルがあることもあるため、最初は誰かが一緒に参加したり、手伝うなど0から1のサポートも必要だ。一方でデジタルに強い若い世代などもメリットがなければ『新しい場所ができたから行ってみよう』とはならない。そのため例えば、ゲームや恋愛マッチングなど何らかのお祭り的なイベントを開催したり、参加すれば何かのポイントがもらえる、など“参加する理由を作る”工夫が必要になる」と述べた。

 「ぷらっとば~す」で利用者同士のコミュニケーションが取れなかった点については「一般的には『コミュニケーションがあった方がいい』という話になると思うが、いざ自由にしてしまうと思った通りに交流できず逆にネガティブな体験になったりもする。そのため、ファシリテーター役や人と人とをつなぐ役割の人など、一定のコントロールが必要になる。そこには予算をちゃんとつぎ込んで人もちゃんと入れることが欠かせない」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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