元F1ドライバーの遺伝子を持つ ジュリアーノ・アレジが、あわや予選タイム抹消のギリギリ神業走行を披露。チームメイトも「これはアレジの1ミリ」「やりすぎですね(笑)」と感服しファンも熱狂した瞬間が話題となっている。
6月1日、鈴鹿サーキットで開催されたスーパーGT 第3戦予選。GT500クラスでは、Deloitte TOM'S(#37 GR Supra)の笹原右京とアレジの両ドライバーが圧巻のコーナリングを見せた。
2024年度より新方式が採用されたスーパーGTの予選。2023年シーズンまでは、最初のQ1で上位のみがQ2に進出でき、そのQ2で上位のグリッドを決める「ノックアウト方式」を採用していたが、今季からは、Q1とQ2のタイムを合算して順位を争う「タイム合算方式」へと変更されている。
Q1とQ2で、それぞれ異なるドライバーが走行すること自体は変わらないが、全チームがQ2で挽回できる方式であるため、ドライバー個人の技量が試される。
37号車のQ1を担当した笹原は、「マシンと自分が一体になったようなフィーリングがあって、手足のように操れて、すごく気持ちの良いアタックができました」と、Q1・Q2を通して見ても最速タイムを記録する、絶好調の走りを見せた。
その笹原の走りの中でも特に目立ったのが、スプーンカーブでのコーナリングだ。
「タイム抹消にならないレベルで攻めた」と語るように、コース外まであと数センチの超絶テクニックを見せつけた。
続くQ2では、笹原の走りに焚き付けられたのか、チームメイトのG・アレジがチャレンジングな走りを見せる。しかし、笹原がQ1でトップタイムを記録したことで、37号車は上位のグリッドをほぼ確定させていたため、本来ならば、ミスを避けるべく安全運転で走行するのがセオリーだ。それでもアレジは、「(コース外走行で)タイム抹消にならないように気をつけて」と助言した笹原も驚く、さらなる神業コーナリングを見せた。
コースアウトギリギリのコーナリングに笹原は「やりすぎですね(笑)。まさかこんなに攻めているとは思わなかった。これはもう“アレジの1mm”です」と、FIFA ワールドカップ カタール 2022 日本vsスペインの“三笘1mm”になぞらえて、アレジの凄さを表現した。
ファンも「やりすぎって笑」「トラックリミットぎりぎり!」「白線半分のこすのみ」と大興奮の様子だ。
絶好調の笹原、それを超えるコーナリングを見せたアレジ、両者2名を抱える37号車は、見事予選を1位通過。ポールポジションで迎えた本戦では、レース中盤にトラブルを抱えながらも、安定した走りを見せて堂々と1位でフィニッシュ。
スーパーGT参戦5年目にして悲願の初優勝を果たした笹原は、「苦労して頑張ってきたからこその優勝は、すごい格別な思いがあります。最後、37号車が最終コーナーに出てきた時にちょっと涙で前が見えなかった」と振り返った。
(ABEMA『ABEMA SUPER GT ダイジェスト』/(C)GTアソシエイション)