近年減少しているとされるのが、子どもの「反抗期」。明治安田総合研究所などの調査(2016年、親1万人・子ども6000人に調査)によると、「反抗期と思える時期はなかった」と回答したのは、親世代で男性が28.1%、女性が26.4%、子ども世代で男性42.6%、女性35.6%と、子ども世代で増えている。
SNSでは「羨ましい…」「ないほうがいい!」などの声があがるが、親としては悩むことも。Aさんは「うちの子は反抗期もまだないし、いわゆるイヤイヤ期もなかった。反抗期だと『親が怖い』というのが理由の1つ目に出てくるので、“私大丈夫かな?”と見つめ直すタイミングになった」と話す。
反抗期はないと駄目なのか? 『ABEMA Prime』で思春期の子育てアドバイザー・道山ケイ氏とともに考えた。
■反抗期には“良いものと悪いもの”がある?
反抗期のない子どもが増えている背景として、道山氏は「先ほどの調査は親子関係についてもデータをとっていて、結果わかったのが、親子関係が良い家庭が増えている。つまり、親に反抗する必要がなくなった子が増えている」と説明。また、反抗期には“良いものと悪いもの”があると指摘する。
「反抗期は、親子の意見のぶつかり合い・対立で起こる。例えば、似たような意見を持っている親子はぶつからないし、親が子どもの意見をきちんと受け止めて尊重していると、子どもはそこまで言う必要がない。この場合に『うちの子は反抗期がなかった』というのは全く問題ない。一方、悪い反抗期は、親子関係がすごく悪い時。子どもは親を悲しませるため、困らせるために思ってもないことを言ったり、ひどい場合には手を出したりする」
反抗期がないと将来に影響するのか。道山氏は「子どもが本音を言えない関係の可能性」を指摘。「意見を言っても無駄」と何も言わず無気力に、怒りをため込みすぎて急に爆発する、会社や上司の言いなりになる主体性のない人間になる、などの懸念点をあげている。
コラムニストの河崎環氏は「何らかのかたちであれ、反抗期は絶対にあったほうがいい」との考えを述べる。
「自分の親を“毒親”と呼ぶ人、親との関係性を築くことができなかったために今生きづらい思いをしている人の声を記事にしてきた。特に女性の場合は、“反抗できなかった”“自分の意思を無視された”と言う人がすごく多い。そう考えると、自我の正しい成長の在り方として、嫌々であろうが親に対する当てつけであろうが、反抗期はあったほうがいいと思っている。それが社会に向けたものであればSOSなわけだ。なので、親が『うちの子どもは反抗期がなくてすごくいい子』と言っているのを聞くと、なぜないのかを自省してみるべきだと思う。“良好な関係が築けている”という結論ならいいが、“私の言うことを何でも聞くから”はあってはならないと感じる」
■反抗期への“3つの向き合い方”
子どもの反抗期への向き合い方として道山氏は、成長の証として「反抗期を楽しむ」、親の意見を通さず失敗させ「失敗=成長と捉える」、「イライラしたら人に聞いてもらう」の3点をあげる。
「例えば、『宿題しないと忘れるよ』と言った時に、子どもが言うことを聞かないとする。ここでぶつかるぐらいなら、1回宿題を忘れてみなと。先生に怒られて学ぶほうが早い。また、親も常に聞く姿勢で向き合っていると、だんだんイライラが出てくる。それを子どもにぶつけると仲が悪くなるので、別のところで発散をする。そういったことを含めてやっていくのがいいと思う」
では、親を無視する、会話をしない、部屋にこもるなど、“構わないでほしい”というサインが出ていたらどう対処すべきなのか。
道山氏は「これは親子関係が悪くなっているサインなので、もう一度コミュニケーションをとっていくということが大事だ」と述べる。
河崎氏は「逆に言えば、親の側も“子どもは今自立していこうとしているんだ”と諦めることができる。親離れと子離れは両方とも起きたほうがいい。親がいつまでたっても、『うちの子かわいいの』と言っているのもどうなのか」との考えを示した。(『ABEMA Prime』より)
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