何が起こるかわからない――。衝撃の瞬間に敵も味方も大混乱だ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Aリーグ第2試合、チーム渡辺 対 チーム中村の模様が6月8日に放送された。第3局では、チーム中村の佐々木大地七段(28)が渡辺明九段に劇的逆転勝利。執念の粘りから形勢を完全にひっくり返した瞬間に、仲間も「え?え?あれ?」。トップ棋士たちのリアクションに、ファンからは「メイクドラマ」「しょうぎこわ!」の声が寄せられた。
新リーダー・中村太地八段(36)が自身初となるドラフト会議を経て獲得したのは、佐々木七段と渡辺和史七段(29)の両名。初戦ではリーダー自ら出陣したものの、チーム渡辺の岡部怜央四段(25)に敗戦、続く第2戦でも渡辺七段が連投した新鋭に黒星を喫し、苦しい連敗スタートとなった。
迎えた第3局では、ABEMAトーナメントの常連で経験豊富な佐々木七段が登板。連敗の流れを断ち切るべく敵将・渡辺明九段(40)戦へと向かった。簡単には勝てない相手、と佐々木七段は序盤で△9四歩と端歩を突くやや変わった作戦を用意。それでも相手は百戦錬磨のトップランナー。先に抜け出すと、切り裂くよにリードを広げられる展開となった。
しかし、ここで譲ればチームは3連敗。なんとか流れを食い止めるべく、佐々木七段は粘りを見せ反撃のチャンスを待っていた。両者時間切迫の中、勝利まであと一歩の渡辺九段の指し手が乱れる場面を見逃さず、佐々木七段が△4七角の勝負手を打ち込む。するとここからみるみる形勢は傾き出し、ついに佐々木七段が大逆転の追い上げを見せた。
この一連の逆転劇に、両軍の控室は大混乱。仲間の中村八段、渡辺七段は「え、詰まないの!?成って取って…、え?」「え?え?あれ?あれ?」と必死に指を動かして確認する仕草を見せたほか、チーム渡辺の山崎隆之八段(32)、岡部四段も「やっぱ将棋こわ!」「こわい…恐ろしい」と顔面蒼白状態となっていた。急転直下の幕切れに対局室の混乱はもちろん、両軍のリアクションにファンも驚がく。「メイクドラマ」「うわー」「だいぎゃくてーん」「大地ーよかった」「なんだこれ」「大地えらい~」「しょうぎこわ!」とコメントが押し寄せていた。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)