終わってみれば、危なげもない堂々とした予選突破だ。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Cリーグ第2試合、チーム藤井 対 チーム天彦の模様が6月22日に放送された。藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、21)、羽生善治九段(53)という新旧の天才棋士に青嶋未来六段(29)というドリームチームは、個性派が集ったチーム天彦にスコア5-2で快勝。藤井竜王・名人、羽生九段が1勝1敗のところ、青嶋六段が3連勝と大活躍。ビッグネーム2人だけでなく、3人目の棋士まで状態を上げるという盤石の勝ち上がりとなった。
最後まで相手にペースを渡さない、王者の勝ち方だった。第1局を任されたのは青嶋六段。先手番から雁木を採用すると、後手の斎藤明日斗五段(25)は矢倉に。青嶋六段が相手の攻め駒にプレッシャーをかけるB面攻撃でペースを握ったかに見えたが、中盤の激しい駒の奪い合いから斎藤五段が抜け出し後手優勢に。それでも最終盤、青嶋六段が再逆転に成功し103手で勝利を収めた。
第2局は羽生九段が山本博志五段(27)に敗れるも、続く第3局は藤井竜王・名人が佐藤天彦九段(36)とリーダー対決。角交換振り飛車の出だしになると、藤井竜王・名人にとってもあまり経験がないと思われたダイレクト向かい飛車に的確に対応。85手で快勝し、再びリードを奪った。
第4局は絶好調・青嶋六段が少年時代から知る山本五段と対戦。レジェンド羽生九段を破って勢いに乗る相手に序盤、中盤とリードを許すも、持ち時間も少ない中で端攻めから逆転のきっかけを掴み、154手で大きな1勝を手にした。
第5局は羽生九段が斎藤五段と大熱戦。チェスクロックが残りわずかな持ち時間をピッ、ピッと刻む中、正着を重ねて即詰みに打ち取り153手で勝利。スコア4-1とリードし、チーム勝利に王手をかけた。ところが第6局、大エース藤井竜王・名人が山本五段に敗れる波乱。ここで光ったのが2連勝していた青嶋六段だった。
第7局は先手・青嶋六段が居飛車、後手・佐藤九段が四間飛車の対抗形。名人経験もある佐藤九段の巧みな指し回しの前に一時はABEMAの「SHOGI AI」でも5%対95%と追い込まれたが、またしても驚異的な粘りを見せた。自玉がいつ詰んでもおかしくないような状況ながら、自陣で耐えに耐え、ついに大逆転。175手という大熱戦を勝利し、チームの勝利も決めた。
スコアは5-2と快勝ながら、内容としては激しい勝負が続いたことに、試合後の藤井竜王・名人もホッとした様子。「青嶋六段が3連勝し、チームを引っ張っていただいた。本当にすごく手に汗握る大熱戦で、見ていておもしろい将棋が続きました」と微笑むと、本戦に向けては「いい形で予選を通過することができたと思うので、この勢いで本戦も頑張っていきたいです」と誓った。
七冠王に永世七冠が揃うドリームチームに、オールラウンダーの青嶋六段が絶好調に突入したとあっては、いよいよファンの優勝への期待度も増すばかり。本戦ではどんな華々しい戦いを繰り広げるか。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)