将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Cリーグ第2試合、チーム藤井 対 チーム天彦の模様が6月22日に放送された。5勝2敗で勝利した藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、21)率いるチーム藤井では、青嶋未来六段(29)が3戦全勝で勝利に貢献。「ラッキーな部分多かった」と語ったが、ドリームチームのメンバーとして、圧巻の結果でその存在感を示した。
青嶋六段は、2015年4月に四段昇段。翌年の2016年度には、42勝14敗で勝率.750&12連勝をマークし、将棋大賞の勝率一位賞と連勝賞をダブル受賞した。居飛車、振り飛車を指しこなすオールラウンダーの棋風で竜王戦4組、順位戦B級2組で頭角を現していることはもちろん、趣味のチェスも日本トップクラス。今年9月にハンガリー・ブダペストで開催される「チェスオリンピアード2024」では自身初となる日本代表選手にも選ばれているほどの実力者だ。
藤井竜王・名人率いる今期のチーム藤井は、メンバーの羽生善治九段(53)も含め、3人揃ってチェス愛好家という共通点を持つ。年間を通してタイトル戦で日本全国を飛び回る藤井竜王・名人とは接点は多くないものの、表面には現れない強固な絆もあるようだ。
本試合では、チーム1戦目と同様にトップバッターを担当。チーム天彦の斎藤明日斗五段(25)と雁木VS矢倉の一戦を制し、チームに先勝をもたらした。さらに、チーム2勝1敗と白星先行の中で迎えた第4局では、少年時代から交流のある山本博志五段(27)を相手に序・中盤でリードを許すも、時間に追われる終盤で端攻めからの勝機を白星へとつなげた。
3戦目は、第6局で藤井竜王・名人が山本五段に敗戦を喫した直後の第7局。絶対王者の黒星という波乱でも動揺を見せず、敵将・佐藤天彦九段(36)戦へと向かった。後手の佐藤九段が四間飛車を志向し対抗形となった一戦では、敗勢まで追い込まれたものの絶対に譲らぬと強い気持ちで粘り大熱戦に。長く苦しい終盤戦となったが、一瞬の切り返しで逆転。175手で個人3勝目とチーム勝利をもぎ取ってみせた。
青嶋未来の3勝に加え、藤井竜王・名人、羽生九段がそれぞれ勝利を挙げたことで、5勝2敗でチーム天彦を撃破。チーム藤井の予選突破が決定した。藤井竜王・名人は、「青嶋六段が3連勝と素晴らしい活躍でチームを引っ張っていただいた」と称賛。青嶋六段は「どの将棋も序盤で冴えない形にしてしまった。苦しい中で何とか逆転にこぎつけた将棋が多かったです。その中で勝てたのはラッキーな部分も多かった」とコメント。個人3連勝については「お二人の将棋を間近で見て勉強しながら、そこで私も波に乗れたのではないかなと思います」とチームメイトの存在に感謝していた。
優勝本命のチーム藤井とあり、本戦の戦いぶりにも当然大きな注目が集まることになる。予選突破をけん引した青嶋六段は、「今日の勝利は自分にとっても自信になった。この調子で行ければなと思っています」と上位進出を見据えていた。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)