【WRC】第7戦 ラリー・ポーランド(6月27日~30日)
比較的ストレートの多いコース配置によりハイスピードバトルとなった「ラリー・ポーランド」で、解説者が「これがラリーなんですよね」とコメントする、車体を壊しながらも走り切らなければならないラリーカーの象徴的なシーンが見られた。
6月30日の最終日デイ4、最終ステージとなるSS(スペシャル・ステージ)19は、上位タイムでボーナスポイントが獲得できるパワーステージとなっていて、多くのドライバーがギリギリのバトルを演じる。それはセカンドカテゴリーのWRC2に属するシトロエンのニコライ・グリジアンも同じだ。
SS19の序盤から徹底的に攻め続け、ステージ途中のターマック(舗装路)エリアに入る頃には、すでにリアバンパーの右側を破損していた。さらにラインを攻めすぎたあまり、このエリア途中に設置されたシケイン状の障害物(藁を固めて作ったもの)にぶつかって弾き飛ばす場面まで!
最終エリアのスタジアムセッションに入ってからも激走を続けるが、よく見るとすでに右リアタイヤがパンクしており、ホイールが剥き出しになっている。普段WRC2カテゴリーで優勝争いをしている実力派のグリジアンであっても、限界まで攻めればこういうことが起こりうるのがラリーの世界。さらに、ラリーはフィニッシュラインを通ってタイムを計測すれば終わりではなく、サービスパークまでマシンを運ばなければならない。
最終的にクラス6位でフィニッシュした後のインタビューで、悔しさと切なさが入り混じった表情を見せたグリアジン。インタビュアーから「厳しかったですね」と言われ、「できるかぎり攻めたんですが……残念です」と自分を戒めるように語っている。2024年のWRCも折り返しとなる第7戦、ある種、厳しいラリーという競技の真髄がこのステージに詰まっていた。
(ABEMA『WRC 世界ラリー選手権 2024』/(C)WRC)
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