【写真・画像】声優・梅田修一朗&羊宮妃那から見た「小市民」とは?【アニメ『小市民シリーズ』インタビュー】 1枚目
【動画】『〈小市民〉シリーズ』第1話
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 TVアニメ『小市民シリーズ』が2024年7月6日より放送されている。本作は『氷菓』をはじめとする〈古典部〉シリーズで知られる直木賞作家・米澤穂信氏による『春期限定いちごタルト事件』および『夏期限定トロピカルパフェ事件』を原作としており、過去の苦い経験から自信の持つ推理能力を秘めて小市民を目指す主人公・小鳩常悟朗と、同じく鋭い洞察力を持つが小鳩と同じ志を持ち互いに助け合う「互恵関係」を結んだヒロイン・小佐内ゆきの二名を中心とした学園ミステリだ。

【動画】『〈小市民〉シリーズ』第1話

 高校デビューをして穏やかな生活を小市民として過ごそうとするも、日常で起こる小さな事件や謎に巻き込まれていく内に、秘めたる欲望がうずく……その葛藤が繊細かつ軽妙なタッチで描かれていく。

 小鳩を演じる声優の梅田修一朗と小佐内を演じる羊宮妃那にインタビューを行った中で、本作独自の互恵関係で繋がる二人を演じたアフレコ時のエピソードを伺った。ブースでの掛け合いをして収録したということで、役作りをしつつも掛け合いの中で演技がどう変化していったのだろうか。

 梅田は「スタジオオーディションの時から、リアルに会話している温度感を生っぽく演じてほしい」というオーダーがあったと前置きしてこう続ける。「演技プランは用意しつつも、実際のアフレコで(羊宮演じる)小佐内さんと会話していく中からヒントをもらって小鳩くんを表現していきたいと思っていました。

 自分の中では勇気のいることで、第1話のアフレコは緊張もワクワクする気持ちも両方感じていましたが、第一声から本当に小佐内さんがそこに存在しているようなお芝居を羊宮さんがしてくださったんです。そこからどんどん引き出されるような感じで、自分の中の小鳩くんらしさも形作られていきました」と語る。

 原作小説は小鳩の一人称視点で進行されるため、小佐内の心情は基本的に小鳩が感じたものとなる。羊宮にも同じようにアフレコ時の掛け合いについて話を振る。

 「原作小説を読むだけですと、想像での距離感や空気感になってしまうのですが、実際にアフレコをしてみると全然違いました。会話劇の中で動かされていく感情の振れ幅みたいなものも変わっていって、当たり前ですけれど話数を積み重ねて収録をしていくたびに、ゆきちゃんが捉えるものの大きさが変わっていきました」と振り返りつつ、梅田の芝居にも言及した。

 「梅田さんが本当にナチュラルに……普段やっているんだろうなという感じで推理をしていって、「そんなに小市民から外れていく?!」って心の底から思えるほどでした(笑)」と羊宮が思い出し笑いをする一幕も。

 普段は小市民を目指しながらも、事件を前にして推理をしたくなる欲望との葛藤に悩む小鳩を演じる上で、梅田は「毎回勇気を持たないといけない芝居をしていた」と述懐する。その点について、こう深掘りしてくれた。

 「感覚的なところがあるので言い表すのは難しいのですが、自分の中で選択肢を用意して掛け合うのではなく、その選択肢をあえて演技として出さないということをしていて。アニメで普段表現しているキャラクターとは反対の引き算のようなお芝居を、恐れ多くも毎回していました。そんな中でも、毎回の現場で信頼できる役者の皆さんとお芝居をさせていただけたので、自信を持って小鳩くんでいさせてもらえたと感じています」

 対する羊宮は、小佐内を演じる上でナチュラルな芝居を要求された中で、大好きな甘いものを食べるシーンなど人間味が出る場面では、抑揚をつけて嬉しさを出していく役作りをしていたという。抑揚をはっきりさせる箇所では、もっとつけてもいいと現場でディレクションされる場面もあったとのこと。

 学園ミステリである本作独自のディレクションについて、深掘りして聞いてみると梅田は「小鳩くんが推理をしていく中では、しっかりと伝わらないといけない単語が出てくるので、そこはナチュラルなお芝居を意識しつつも、重要なワードが明確に視聴者に伝わる表現になるようにという指示をいただいていました」と話す。羊宮からも「ほかの作品とは違う演じ方ですか?」という質問が飛び出すと、「初めてのことばかりでした」と梅田は回答していた。

 放送で視聴することを楽しみにしているという羊宮に対して、一足早く完成した第1話を視聴したという梅田からは、映像のみならず仕上がった音響についても言及が。「二人の表情も綺麗に細かく描かれていますし、自分たちが全力でやらせていただいたお芝居に環境音も加わっていたり、渡り廊下でしゃべっているときは渡り廊下に響いている声になっていたり。そういった細かいところ1つ1つ感動して見ていました。この夏は二人と同じ学校・同じ街で過ごしたような気持ちになってもらえるのではないかと思っています」と締めてくれた。

 梅田と羊宮が語るように、小鳩と小佐内のナチュラルな芝居で紡がれていく『小市民シリーズ』に注目してほしい。

『小市民シリーズ』

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【公式HP】https://shoshimin-anime.com/
【公式X(旧Twitter)】https://x.com/shoshimin_pr

取材・撮影・テキスト/kato
(C)米澤穂信・東京創元社/小市民シリーズ製作委員会

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