■抗がん剤治療の目的

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 抗がん剤治療には、大きく3つの目的がある。がん細胞を死滅させる「根治」と、がん細胞の増殖を抑え、抗がん剤治療をやらないよりも長生きすることを目指す「延命」、そして病状の進行を抑え症状を緩和することで、結果的に延命が図れることもある「症状緩和」だ。いずれのケースも、抗がん剤だけで完治は難しく、がんと付き合いながら寿命を延ばすことが目標となっている。

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 抗がん剤治療と緩和ケアが専門で、川崎市立井田病院で腫瘍内科の部長を務める医師の西智弘氏は「抗がん剤治療での根治は、なかなか難しい」とした上で、「抗がん剤も進歩しているが、現状では難しい。最初に『がんと付き合いながら、寿命を延ばす』という目標を患者と共有しながら、生き方をどうしていくか相談するのが基本だ」と説明。

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 抗がん剤治療には、副作用もある。吐き気・嘔吐や脱毛、口内炎、しびれなどの末梢神経障害、倦怠感、骨髄抑制(白血球減少、血小板減少)の影響で、免疫力が低下することによる感染症、貧血などが挙げられる。

 治療方針は、患者の生活スタイルによって変わるという。西氏は「抗がん剤治療をすると、ある程度のQOL(生活の質)は落ちる。落ちたとしても、その分長く生きられることに重きを置くなら、治療した方がいい。反対に、今の生活を保つのが、生き方として合っているならば、抗がん剤治療しない。または60~70パーセントの治療を考えるなど、すりあわせが大切だ」との考えを示した。

■延命治療を受ける場合に大切なこと
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