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【映像】形勢グラフにも注目…逆転の瞬間に解説者が絶叫

 将棋の伊藤園お〜いお茶杯王位戦七番勝負第1局が7月6・7の両日に愛知県名古屋市の「徳川園」で指され、藤井聡太王位(竜王、名人、王座、棋王、王将、棋聖、21)が挑戦者・渡辺明九段(40)との千日手指し直し局に136手で勝利した。渡辺九段が勝利を目前としていた最終盤、1分将棋で藤井王位が大逆転に成功。誰も予想できなかった一瞬の出来事に、解説者は「ええー!?」と絶叫し驚きを隠せない様子だった。

【映像】形勢グラフにも注目…逆転の瞬間に解説者が絶叫

 極限状態で起きたあまりにドラマチックな展開に、ファンからは「まさか」「またか」と様々な反響が押し寄せた。藤井王位が防衛5連覇で永世王位獲得を目指す注目のシリーズは、渡辺九段との激突に。名古屋市で行われた第1局は、雁木模様の出だしから異例のスローペースとなった。長く膠着状態が続いた2日目午後に80手で千日手が成立。後手番の渡辺九段は持ち時間を多く残しており、“作戦勝ち”と見られていた。

 同日夕刻から行われた指し直し局は、渡辺九段の先手番で相掛かりの戦型に。この作戦も渡辺九段の用意の作戦と見られ、藤井王位の猛攻を見事にしのいでリードを拡大させていた。挑戦者の開幕戦勝利は目前。ABEMAの「SHOGI AI」も渡辺九段の勝率“99%”を示していた。それは同時に藤井王位の勝率は1%、『いつ投げてもおかしくない』という状態を意味している。渡辺九段は時間攻めで絶対王者を追い詰め、あとはゴールのみ。藤井王位は背中を丸めガックリ、扇子を弄ぶなどその仕草は明らかな劣勢を示していた。

 1分将棋の中、ABEMAで解説を務めた鈴木大介九段(49)も力なく手を繋げる藤井王位の様子に、「(投了に向けた)形作りの手ですね」とも。SHOGI AIは21手で詰みがあることを表示していたが、渡辺九段はとにかく安全第一。藤井王位は詰将棋のスペシャリストということもあり、最後まで『正解は一通り』という細く強力な罠に細心の注意を払っていた。

 藤井王位の用意した“詰将棋”は超難度。双方時間に追われる中で、藤井王位が終盤で作った馬とのコンビネーションにより渡辺九段の選択肢が狭められ、銀打ちの一手で詰みを逃すことに。この瞬間、形勢は完全に藤井王位側へと入れ替わる大事件が発生した。この一瞬の出来事に、解説の鈴木九段は「ええ!?」と絶叫の後、「こんなことあるの…」と絶句。「私も棋士生活長いですが、これは初めて見る光景です。渡辺さんが詰みを逃すなんて思えない…いやー」と大きなため息を漏らした。

 終盤の鬼・藤井王位はこのチャンスをしっかりと掴み、勝利へ一直線。千日手指し直しの死闘を制した藤井王位も笑顔は薄く、その顔には濃い疲労をにじませていた。

 あまりにも衝撃的な展開に、ファンからも悲鳴が上がるとともに、コメント欄は「目を離したらどしたん」「まじかよ!」「さすがにまさか」「大事件発生」「グラフがナイアガラ」「投げなかったら、まぎれってあるんだな」「またか」「こんな事あるんだね」と大混乱の状態に。終局後、鈴木九段は「これでドラマが起こるなんて、一万局に一局くらいじゃないでしょうか。トリプル役満よりも確率が低い」とプロ雀士の顔も持つ“二刀流棋士”らしい表現を交えつつ、事件の大きさを表現していた。

 敗れた渡辺九段は、「対局中は詰みが見えなかった」と落胆。「詰みがあるなら詰まさなければならなかった」と悔しそうな表情を見せていた。波乱の幕開けとなった“真夏の七番勝負”。注目の第2局は、7月17・18日、北海道函館市の「湯元 啄木亭」で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

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【映像】色濃くにじむ疲労…第1局指し直し局終局の瞬間 対局者の表情
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