7月7日に投開票が行われた東京都知事選挙は、現職の小池百合子氏が圧勝、3選を果たした。対抗と見られていた元参議院議員の蓮舫氏は3番手に終わり、元安芸高田市長の石丸伸二氏が2番手に食い込んだ。小池氏の強さが改めて際立った中、史上最多となる56人もの候補者が出た今回の都知事選。同時に大きな話題になったのが、数々の「ポスター問題」だ。「ABEMA Prime」には、今回の都知事選に出馬した候補が多数出演。ポスターを巡る問題について、様々な意見が飛び交った。
■48人までしか「貼れなかった」ポスター掲示板に訴訟する候補も
まず話題になったのが56人という大量候補者が出たこと。中でも19人もの候補者を送り込んだのがNHKから国民を守る党(N党)だ。都知事選には供託金300万円を支払えば立候補することができるが、これにより掲示板にポスターが貼られる、政見放送を行える、選挙公報に掲載される、などがある。N党党員の候補者だった山田信一氏は、安易に出馬できるという懸念もあるのではという問いに「これは被選挙権で立候補する権利。気に食わないから立候補をやめろということは誰も言えない。政治的主張は自由で、当選するかは有権者が決める。候補者がいっぱい出るのは投票率にもつながり、議論も深まるのでとてもいい」と述べた。
ただし、この供託金300万円分の権利を得られなかったとして、訴訟を起こしているのが無所属で立候補した小林弘氏だ。小林氏は56人の候補者のうち50番目に届け出をしたことで、予定されていた48人分のポスター掲示板からはみ出ることになってしまった。「掲示板の外側にポスターを貼ることになった。それ自体は仕方ない」としたが、当初は枠を増設して対応するという話だったという。結果的にクリアファイルに挟んで掲示板の外側につける形になったが、下にぶらさけるようにつける分にはまだよかったが、横につけた場合はだらりと垂れて「名前も顔も見えなくて価値がない」状態になった。この不公平な扱いに対して小林氏は弁護士に相談。「勝てる見込みはない」と言われたものの、自ら訴状を作成して東京地裁に書類を提出。賠償額として、今回の都知事選で使った費用1500万円弱を求めているという。
そもそも都内1万4000カ所に設置された掲示板に、ポスターを1枚1枚貼るというのも負担は小さくない。山田氏は「このポスターのルールが馬鹿にしている。そもそも1万4000カ所も貼れない。貼れる資金力と陣営が必要だし、参入障壁だ」と息巻いた。
■「ポスター販売」の是非 N党党員「選挙ビジネスと言われるが儲かっていない」
もう一つ大きな話題になったのが「ポスター販売」だ。選挙ポスターといえば、候補者自身の名前と顔、公約などを全面的に打ち出したものがよく知られるところだが、今回はN党党員が党に寄付した人の主張をポスターに掲載するという、型破りな展開を行った。すると過去には見られなかったような内容のポスターが次々と掲載される事態となり、大きな話題になるとともに、掲示板は公金で作られ、公共の場に設置されているという観点から批判の対象にもなった。同じくN党党員の上楽宗之氏は「これが選挙ビジネスだと言われるが全然儲かっていない。ポスター掲示板の寄付で集めたのは(供託金の)7分の1ほど。ビジネスとしては崩壊している。掲示板はアナログなので、インターネットが普及しているのだから、そっちにシフトすべき」と、利益を得るための施策ではなかったと語った。また山田氏も「今当選している人は変えたくないだろうが、こうやって物議を醸すことで(N党は)無理やり変えようとしている。来年の参議院選挙までに変えないと、NHK党は『変わらなければ同じことをする』と立花党首は言っている」と加えていた。
ただ、「選挙には非常に真面目」と語る薄井シンシア氏は、N党の施策について「選挙と関係ないことを貼られたら、すごく馬鹿にされている気がする」とコメント。また、お金をみんなへシン独立党代表の新藤伸夫氏も、候補者として「私はポスターに関しては、もっと2万カ所、3万カ所でもいい。N党はもっと常識的にやっていただきたい」と反論していた。
(『ABEMA Prime』より)
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