チームメイトの勝ちっぷりは、リーダーも思わず身をのけぞるほどのものだった。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Aリーグ第3試合、チーム広瀬 対 チーム中村の模様が7月6日に放送された。チーム中村の渡辺和史七段(29)は、勝負所で迎えた敵将・広瀬章人九段(37)戦の2戦で勝ち星を挙げる大活躍。ファンからは「和史いいーーー!」「お見事」と称賛の声が上がっていた。
渡辺七段は、第5回ABEMAトーナメントで大会初出場。チーム渡辺のメンバーとして着実に勝ち星を積み上げ、早指し戦での存在感も見せつけた。その後は公式戦でも頭角を現し、2021・22年の2年連続で将棋大賞の連勝賞を獲得。順位戦昇級、竜王ランキング戦連続2回昇級で七段昇段を決めるなど、年々その注目度をアップさせている
今期は中村太地八段(36)の指名を受け、チーム中村入り。予選Aリーグ第1試合では個人連敗スタートとなったものの、フルセットの最終局で相手の渡辺明九段(40)を破りチーム勝利を決めるなど、ここぞの勝負強さを見せつけた。
チーム広瀬との予選第3試合では、第3局で初登板。敵将・広瀬九段にリードを広げられる苦しい展開の中、局面を複雑化させる混戦から焦りを誘い、一瞬の隙を突いた渡辺七段が逆転勝利を飾った。第5局の杉本和陽五段(32)戦では大激戦で黒星を喫する結果となったが、それでも渡辺七段が下を向くことはなかった。
3度目の登板は、チーム中村の3勝4敗で迎えた第8局。勝利しフルセットへとつなげるべく、この日2度目の広瀬九段戦へと向かった。雁木VS矢倉の一戦は、経験豊富な広瀬九段がリードを奪う展開に。先手の渡辺七段にとっては苦しい時間が長く続いたが、闘志を切らすことなく粘り華麗に逆転に成功した。さらに、勇気のいる踏み込みから収束を完璧に読み切ると、1三銀の華麗な王手。広瀬九段を消耗させたところで鋭い勝負手を連発し、激戦を制してみせた。
この大逆転勝利に、チームリーダーの中村八段は大きく身をのけぞらせるリアクションも。チームにとっても様々な重圧を背負って戦うリーダーにとっても、それほどに大きな1勝だったことを物語る場面となった。さらに、視聴者からは相手リーダーから2勝をもぎ取った渡辺七段を労う声が続々。「太地先生昇天www」「これは和史先生すごい」「ひえーかっこいい」「和史いいーーー!」「これぞフィッシャーだな」「かずし魅せるなあ」「お見事」「和史気持ち入ってたね」など、多くの反響が寄せられていた。
◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)