積み場1本にも満たない点差、しかしそれが運命を分けた。Mリーガー、各プロ団体推薦者が出場する「Mトーナメント2024」セミファイナルA卓が7月27日に開催され、推薦選手として出場した元セガサミーフェニックス・和久津晶(連盟)がわずか200点差で惜敗。ラスト1牌で決着した戦いの残酷な結末に、放送席も沈黙せざるを得なかった。
第2試合南4局を迎え、和久津は同じく推薦選手の杉浦勘介(連盟)と2位通過を競っていた。和久津の通過条件はツモならば4000点以上、ロンアガリならば4500点以上(杉浦から直撃であれば2300点以上)。4500点は滅多に現れない70符のため現実的には5200点以上の手を作る必要がある。
和久津の配牌はドラ4筒が1枚。形は苦しく、河の1段目ではまだメンツなし。思うように進まない手を和久津は鬼気迫る表情で組み立てる。2段目の終わりに差し掛かってもリャンシャンテン。実況の日吉辰哉(連盟)は「あと5巡ですよ和久津…」と苦境に寄り添った。13巡目、赤5筒が来てようやくイーシャンテン。これで4000点のツモアガリまでタンヤオ仕掛けでもOKだ。日吉は「絶好!」と叫び、解説の瀬戸熊も「わかんなくなった!」と力を込める。
残りツモは2回、次でテンパイして、最後のツモでアガらなければならない。ファンも目を覆いたくなるこの局面、和久津は執念でテンパイを入れた。待ちは三・六万だがすでに六万は山になく、三万が1枚残っているのみ。瀬戸熊は「1山!1山!出アガリもOK!」とつぶさに戦況を伝える。日吉も「三万いたらマジでミラクル!」と叫ぶ。
逃げ切りを図る杉浦、最後のツモは2筒、三万の回収はならず。いよいよラスト1牌、和久津のツモに命運が委ねられた。グッと力を入れ和久津が引き寄せた牌に「萬」の字がちらつき、瀬戸熊は「どう!?」と問いかける。その後、画面に映ったマンズは和久津の希望を砕き、杉浦の首が皮一枚繋がった五万だった。放送席は「うわー!」と絶叫後、沈黙した。
和久津は唇を結び、力なく四万と入れ替えてテンパイは維持。流局後、開く必要のない手を開き、苦笑いで「一応ください…開けちゃった」と告げると、放心状態の杉浦がまず我に返り、点棒を支払った。
ファイナル進出をかけた戦い、勝者と敗者の差はわずか200点。カリスマギャル雀士に訪れた、残酷過ぎる結末に放送席が沈黙する一方で、視聴者からは「最高に盛り上がった」「魅せるねぇ」「萬が見えて一瞬熱かったが」「いやぁ、どっちも残って欲しかったよ」「よくやったよ」「ナイスゲーム!」と健闘を称える声が止まなかった。
※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会
◆Mトーナメント プロ麻雀リーグ「Mリーグ」初となる冠大会で個人によるトーナメント戦。現Mリーガー36人と元Mリーガーやタイトルホルダーなどプロ5団体からの推薦者24人、計60人で行われる。Mリーグの昨シーズン優勝チーム所属の4選手は、予選2ndステージからシード出場となる。全試合「Mリーグルール」で行われ、予選は1stステージ、2ndステージ、ファイナルステージに分けて行われ、それぞれ2位までが次のステージに進出。セミファイナル(ベスト8)、ファイナルを経て優勝者を決める。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)