「なんだこれは!?」井出隼平五段の鮮烈一手に両軍&解説陣騒然 新タイトルホルダー撃破にファンも大興奮「一ミリも考えない手」/将棋・ABEMAトーナメント2024
【映像】周囲を騒然とさせた井出隼平五段の奇策

 タイトルホルダー撃破のためなら奇策も秘策もなんだってやる。将棋界の早指し団体戦「ABEMAトーナメント2024」予選Dリーグ第3試合、チーム佐々木 対 エントリーチームの模様が7月27日に放送された。第1局はチーム佐々木から伊藤匠叡王(21)が登場。エントリーチームからは井出隼平五段(33)が出場したが、序盤に井出五段が見せた一手に、両軍の控室が騒然となることに。解説者からも「なんだこれは!?」と驚きの声が飛んだ。

【映像】周囲を騒然とさせた井出隼平五段の奇策

 伊藤叡王は、令和の天才棋士と呼ばれる藤井聡太竜王・名人(王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)から叡王のタイトルを奪取。同学年対決を制して八冠を切り崩したことで、将棋界の外にまで名を広めた若手実力者だ。対する井出五段は振り飛車党の棋士で、解説やイベントで口を開けば、独特の言い回しとネガティブ発言を連発。さらにプロ雀士との二刀流という、キャラが渋滞した個性派だ。

 井出五段は第1試合で勢いのある10代棋士・藤本渚五段(19)とも対戦。2023年度の成績では伊藤叡王が50勝17敗、藤本五段が51勝9敗という圧倒的な成績を収めており、対局前には「2人合わせて100勝!」と目を丸くし、さらに「目標は王手で」とユーモアたっぷりに話していたが、いざ対局が始まると曲者ぶりを全開にした。

 先手・伊藤叡王が居飛車、後手・井出五段が四間飛車と予想通りの対抗形になったが、序盤からいきなり井出五段が魅せた。伊藤叡王が早くも好機と見てか角交換を催促したが、井出五段はこれを拒否。さらに角同士の筋がぶつかっている4四の地点に飛車を運ぶ奇想天外な一手を指した。これには解説を務めていた門倉啓太五段(37)も「なんだこれは!?見たことないな」と仰天。さらにチーム佐々木の控室からも佐々木勇気八段(29)、久保利明九段(48)が「ひえー」と声を揃えていた。改めて門倉五段は「普通は思いつかない。こういう手があると知っている」とし、その後、お互いが角で飛車を取り合っての飛車交換に進むと「これは新手筋ですね。公式戦では見たことない」と驚いていた。またファンからも「画期的な一手きた」「まじで初めて見た」「こんな手あるの?」「ひぇぇ」「一ミリも考えない手」と驚きが止まらなかった。

 このやり取りでは、形勢が先手・伊藤叡王に傾いたが、困惑させるという意味では作戦成功だったのか、終盤に入り井出五段がついに逆転。時間に追われた伊藤叡王がさらに形勢を損ねて差が広がると、井出五段も好機を逃さず106手できっちり勝ち切った。終局後、チームメイトのもとに戻ると「アベトナに出た甲斐がありました。やけくそですよ!」と言いつつ、タイトルホルダー撃破を素直に喜んでいた。

◆ABEMAトーナメント2024 第1、2回が個人戦、第3回から団体戦になり今回が7回目の開催。ドラフト会議にリーダー棋士11人が参加し、2人ずつを指名、3人1組のチームを作る。残り1チームは指名漏れした棋士が3つに分かれたトーナメントを実施し、勝ち抜いた3人が「エントリーチーム」として参加、全12チームで行われる。予選リーグは3チームずつ4リーグに分かれ、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。試合は全て5本先取の9本勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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