【写真・画像】“Z世代向けアパレル”yutoriが前期比74.9%増の絶好調! 平均年齢25歳の上場で社員「プレッシャーはめちゃくちゃ感じる」…緻密な経営戦略と「勝つ企業のマインド」 1枚目
【映像】新商品のプレゼンに容赦ないダメ出しも
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 “Z世代向けアパレル”yutoriの勢いが止まらない。

【映像】新商品のプレゼンに容赦ないダメ出しも

 2018年に創業したアパレル企業yutoriは創業から6年足らずで東証グロース市場への上場を果たした。売上高は前期比74.9%増だ。

 起業のきっかけは、インスタグラムを中心に盛り上がっていた古着コミュニティーの存在だった。

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 「『古着女子』というメディアのアカウントを2017年12月頃に立ち上げたところ、1カ月でフォロワーが2~3万人になって、その4カ月後に大学の同級生と起業した」

 ファッションに対する若者の熱量を感じ取った片石貴展社長。インスタグラムに投稿された写真をピックアップして紹介するアカウントを作り、古着の魅力を発信。SNSの集客力をもとに始めたのが古着の販売だった。

 しかし、フリーマーケットで仕入れた古着をネットで売り始めたものの、早々に壁にぶち当たる。

 「ECと古着(の組み合わせ)は効率が悪い。(古着は)1個(商品写真)撮っても1着しか売れないが、新品なら1個撮れば100着売れるかもしれない。どれだけ需要ある商品でも1着しか売れないので効率が悪く、売り上げも月100万円とか200万円くらいだった…」(片石社長、以下同)

 そこでyutoriは、古着のようなビンテージ感のある商品などを中心に、新品の服を売り出す方針に転換。それぞれのコンセプトを持ったブランドの立ち上げや買収を繰り返し、今ではおよそ30のブランドを抱える。

 「当時は『インスタで服なんか売れるの?』などと業界の人から『そんなの一過性で終わりじゃん』などとバカにされた。だが、実はそれが非常に良かった。大人が注目してないけど明らかに若者が熱狂している領域を早く見つけて、そこにいち早くプロモーションをかけてお客さんを集めた。2017年、2018年はインスタグラム、2020年、2021年はTikTokで、今はXをやっているが、マーケティングの波にうまく乗った」

 2024年3月期の売上高は前期比74.9%増の43億2000万円と急成長中のyutori。その背景にあるのが、徹底されたブランド運営の仕組みだ。

 「例えば事業には『Yリーグ』という仕組みがある。これはブランドを管理する手法なのだが、Y5からY1まであり、それぞれの売上のレンジが決まっていて『このフェーズではこういう施策を打つと次のステップに行ける』というようなノウハウの型化がされている。その中に、1年で月700万円以上売上が立たないと自動的にブランドが撤退するという掟がある」

 数多くのブランドを運営してきたことで得たノウハウをベースに、若者の支持を集め、順調に成長しているブランドだけが生き残る仕組みを作り上げたのだ。

 現在、権限移譲が進み、片石社長が運営しているブランドはない。社員が皆好きなものを作ってグロースさせる仕組みと文化ができているため、1年に5〜10個程度のブランドが誕生するという。

 平均年齢が25歳という若い社員を中心に構成されているyutori。それぞれが自分のブランドを背負い、売り上げに苦戦する社員にも容赦はない。

 新商品のプレゼンに対し、「成功するための想像力と情報量が100だとしたら、5ぐらいしか見えてない感じがして、大丈夫なのかなこれ」と片石社長から厳しい指摘が飛ぶ。社員に求める仕事のハードルの高さはyutoriという社名とは正反対だ。

 「今の世の中には責任感がない。“〇〇ハラスメント”みたいな言葉や表面的な『多様性』などの言葉が全員の好きなように解釈されて一人歩きしている。その結果、上司は怒りづらくなり、怒られたくない部下との関係の中で人間的な成長が軽視されている。しかし、本来仕事は人間的に成長するための手段であり、(僕たちは)若いからこそあえて踏み込んで互いに成長しようとしている」

 若手は大事に育てなければならないという社会の風潮からは逆行するような片石社長の方針に社員は…

 「プレッシャーは正直めちゃくちゃ感じる。この年齢で他の会社だと任されないことも任せてもらえるので、その分『頑張らないとやばい』とプレッシャーは常に感じている」(社員A)

 「やはり数字はしっかり出さなきゃいけない。のんきにやっていても評価されず、自分からいかないと会社からの指示待ちになっても全然実力も結果も伸びない。個々がそれぞれどう動くかを求めている会社なので、僕は全然厳しいと思ってなかった」(社員B)

 若者が求めるものをSNSで瞬時に察知し、それに応えたいという若手社員の熱量でファッション業界に新たな波を生み出したyutori。その先頭に立ってきた片石社長は、どんな未来を思い描いているのだろうか。

 「5年後にブランド数を70個にして『若者帝国を作る』と発信している。1社で70ブランドを持っていると今の統計だと業界一ブランド数の多い会社になる。それぐらい若者の多種多様な好みや偏愛が社内にカオティックに内在している状況を作れる」

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 Schooエバンジェリスト 滝川麻衣子氏はyutoriについて「目覚ましい進化を遂げた企業だ」と評価する。

 「アパレルの業界は少子高齢化が進む中で苦戦しており市場も小さくなっている。その上、インターネットやSNSの普及で好みが細分化されているためビッグヒットが生まれにくく、『流行を作って大規模に売る』というビジネスモデルがもう成立しなくなっている。そんな中において、yutoriはニーズを掴んでたくさんのブランドを作って、効率的な経営を実現し、高い利益率を上げている」

 さらに片石社長の経営戦略について2つの側面に注目する。

 「片石社長はヴィンテージの目利きでもあるが、ECで売る時には経営効率が悪い。であれば、『古着風デザインの新品』で売るという発想の転換が1つ。そして、古着風デザインというのはいろんな年代のリバイバルや過去の再現は様々なブランドもやってきていることだが、『古着風』というマーケティング的な発信の仕方と、古着に対する愛やリスペクトを込めてヴィンテージの良さと今のトレンドを融合させて、新しい切り口で売り出しているところに経営の“うまさ”とニーズの掴み方の巧みさを感じる」

 さらに、滝川氏は「yutoriはアパレル業界の積年の課題を解決している」と指摘する。

 「アパレル業界では、トレンドを予測して大量生産し、当たれば良いわけだが、売れ残った際にセールで値下げしてさばくことが常態化しており、これによって利益率が下がっていた。だが、yutoriは自分たちが育ててきた SNSコミュニティを精緻に分析・調査して高い確度でウケるものを作っている。それによって売れ残る在庫が減ることが強さの秘密だ。顧客解像度が非常に高い」

 yutoriは社名とは反対に、プレッシャーをかけながら社員の成長を促している姿が印象的だ。滝川氏はこの点についてもyutoriの強みを感じるという。

 「今の時代は若い人に辞めてほしくないと思うあまり、負荷をかけないようにと腫れ物に触るように育ててしまう傾向にある。だがその結果、『物足りない』『ここにいると成長できない』などの理由で転職をしてしまう若者も少なくない。対して、yutoriではブランドの裁量権、責任を渡されて、ブランドの撤退ラインを示され、結果を検証される。経営からフィードバックをされると、ハードではあるものの大きく成長できる。他の会社で得られなくなっている環境を準備している時点で競争力があるのではないか」
(『ABEMAヒルズ』より)

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