簡単な命令を出すだけで、あらゆる文章の出力が可能になる生成AI。この夢のような技術の活用に課題を抱えているのが、夏休みの宿題としておなじみの「読書感想文」だ。
「正直言って生成AIで書いた感想文を見抜くのは非常に難しい」
こう話すのは読書感想文の全国コンクールを主催する全国学校図書館協議会の設楽敬一理事長。読書感想文をめぐってはこれまでも盗作や代行、フリマサイトでの販売などが問題視されてきた。しかし、生成AIの登場によって、子どもたちが誰にも知られることなく感想文を書かせることが容易になった。
現状、AIの使用に関するルール作りはどうなっているのか?
「具体的に要項に『生成AI禁止』とはあえて書いていないが、よく見ると分かるように、『不適切な引用や剽窃があった場合には審査の対象から外します』という文言を入れている。『オリジナルな作品ではない場合は受け付けない』ということになる」(設楽理事長、以下同)
コンクールの募集要項では、「個人のオリジナルで未発表の作品に限る」とあり、不適切な引用等があった場合には審査対象外に。AIに感想文そのものを書かせた場合はこれにあたる。ただ、本人が生成AIの使用を認めない限り、裏付けを取るのは難しいのが現状だという。
審査員が見抜くことは難しい生成AIによる読書感想文だが、設楽理事長は「普段接している担任の先生ならいつもの子どもが書いた作文と違うとわかる。だからこそ、普段からの指導が重要になる」と指摘する。
すでに、生成AIを不正使用した可能性のある作品も確認されている。それでもAIの使用そのものは禁止しなかった理由は…
「例えば、感想文や作文を書くときに、『こういうことについて書きたいんだけどヒントが欲しい』と先生に聞けば答えてくれる。だから、生成AIに対して同様の質問をしてヒントをもらう、あるいは、実際に書いたものが文法的に正しいかを確認してもらうなどの活用はあるだろう」
文章の校正など、自分で書いた感想文をブラッシュアップするための道具としての活用は否定できないと話す設楽理事長。その上でこの夏、読書感想文に取り組む子どもたちにはこうメッセージを送る。
「面白い本に出会ったとき『この本、面白かったよ』と友達に伝えたいもの。そのとき話して伝えることもあれば文章で伝えることもあるだろう。本の面白さを広くみんなに伝えたいという気持ちで感想文を書くと、もっと本が好きになる。ぜひ、この夏休みに頑張ってほしい」
第一生命経済研究所主席研究員でAIやテクノロジーを専門に研究している柏村祐氏は「読書感想文へのAI活用」について「何のために読書感想文を書かせるのか、という学校側の課題設定が大事であり、教育者のアップデートが求められる」と指摘した上で、読書感想文の活用例を示した。
「例えば、感想を書かせるだけではなく、クラスでグループ分けをしてディスカッションする場を設けるなどして、“みんなが考えていること”を交換させるのも一つの方法だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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本記事は自動文字起こしツールや生成AIを利用していますが、編集部の確認を経て公開しています。