2024年7月より、TVアニメ『魔王軍最強の魔術師は人間だった』が放送中だ。魔王軍第七軍団に所属する不死旅団の団長・アイクは、人間であることを仮面とローブで隠しつつ大魔術師ロンベルクから受け継いだ知識と魔術によって、魔王軍の中で戦果をあげていく。人間である正体を隠しながら、魔族と人間の共生を目指していくというダークファンタジーだ。
本作で監督を務めるながはまのりひこ氏にインタビューを実施。本作ならではの魔法描写のほか、声優陣の演技や監督お気に入りのキャラクターなどについて伺った。
――『魔王軍最強の魔術師は人間だった』の監督オファーを受けた経緯からお聞かせください。
ながはまのりひこ氏(以下、ながはま):『農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。』の監督として作業をしていたときオファーをいただきまして、「やりましょう」と受けてシナリオ作りに入っていきました。原作コミック が連載されているサイト「がうがうモンスター」をよく拝見していたので、もともと知っていたタイトルになります。
――本作のアニメ化にあたって意識された点はどんなところでしょうか?
ながはま:最初にコミックを読んで、そのあと小説を本屋で探して読みましたが、オファーがあった時点で小説版は完結していたため(アニメでは)内容を自由に変えても良いと言われていたんです。ただ、物語の大筋を変えるのは自分自身が嫌いなので、なるべく変えないようにバランスをとりつつ作業をしていきました。
その作業中にアニメ独自の設定変更の必要が生じたので、キャラの行動原理などをどう理由つけていこうかしばらく悩みましたね。結果的には、シンプルになって良かったと思っています。
――主人公のアイクは不死旅団の団長ということもあり、魔術を駆使した戦闘描写はもちろん、ストーリーの展開に応じて戦闘の規模も大きくなっていきます。
ながはま:魔法の描写に関しては、基本的に派手になればいいという感じでエフェクトを作ってもらいました。ですが、そういった魔法の描写はほかの作品でも散々やり尽くされているものになりますので、(声優の)芝居でより差をつけようと思いました。魔法名もドイツ語で整理することで統一感を出して、読み上げる時もテンションを上げて叫ぶのではなくどっしりと読み上げてもらうようにしています。
さらに魔法言語として言葉ではなく音を発している感じにしたくて、魔法名と同じ長さの別ワードを話してもらって、音響監督さんに重ねて処理をしてもらうことで、全然聞き取れない言葉を音として完成させています。
――独特な作り方をされているのですね!
ながはま:重ねるためのワードは声優さんたちにお任せしてアドリブで収録しているのですが、ほとんど大喜利のようになっていましたね(笑)。
――アイクを演じる福山潤さんを筆頭に実力派のキャストが参加している本作ですが、声優陣の印象についても伺えますか?
ながはま:本当に芸達者な人たちがそろったと思っています。オーディションのときの原稿に、自分としてはこのキャラはこういうキャラですよという説明を書いていたのですが、実際にアフレコが始まったときにはその説明を軽くしたくらいで、すんなりと進められましたね。
――アフレコ時のエピソードで印象的なことはありましたか?
ながはま:アフレコは幸い、色が付いた状態で実施することができたのですが、芸達者な人たちがそろっているのでテストの時に暴れる暴れる(笑)。もちろん、(役から)外れ過ぎた時は戻してもらっていますが(笑)。
あと先ほども話題に出た魔法名のアドリブですが、セフィーロ役の伊藤静さんとリリス役の和氣あず未さんのアドリブは凄かったですね。魔法を使える全員に重ねるワードを言ってもらっていますが、ダイロクテン役の石見舞菜香さんも最後にセリフ追加して言ってもらいました。
――不死旅団の団長として魔王軍を率いるアイクについて、同じくスタッフやキャストを率いているながはま監督から見た魅力はどんなところになるでしょうか?
ながはま:アイクの凄いところは、個人でも優秀なのはもちろんですが、誰かに任せられるところは任せようとするところだと思います。そういうことが積み重なって、ジロンやリリスたち部下が付いてきている。情の厚いところも、みんな好きなんですよね。
――ちなみに、ながはま監督がお気に入りのキャラはどのキャラになりますか?
ながはま:個人的にはフィオレンティーナですね(笑)。シリーズ構成の待田堂子さんも好きなキャラで、アニメでは2人でキャラを広げています。スタッフ的にはジロンでしょうか。(原作の)羽田先生からの注文でデザインが一番変わっていますが、それもあって愛嬌のあるデザインになり、利根健太朗さんの演技も相まって良いキャラになっているのが最高ですね。
――最後に、放送を楽しんでいるファンの方へメッセージをいただけますでしょうか。
ながはま:原作を読まれている方は、転生要素がなくなって異世界モノになっていますので驚かないでください(笑)。でもだからといってダメになっていることはないと思っています。
アニメから触れた方は、アイクが頑張って目標に向かっていくのを見守っていただきたいです。ジロンやサティ、リリスも頑張っています。セフィーロ様は……雑用をフィオレンティーナに押し付けて、まぁのんびり眺めているんだろうなぁ(笑)。ともあれ、放送を楽しみにして頂けたら幸いです。
――ありがとうございました!
監督が語ってくれた本作ならではの魔法描写やアイクの成り上がりに注目して、放送中の本作をより楽しんで見てほしい。
(C)羽田遼亮・アナジロ/双葉社・魔王軍最強の製作委員会
アニメ公式HP:https://maougun-anime.com/
アニメ公式SNS:https://x.com/maougun_pr
テキスト/kato