将棋日本シリーズ JTプロ公式戦の2回戦第1局が8月3日、福岡市の「福岡国際センター」で行われ、稲葉陽八段(35)が永瀬拓矢九段(31)に147手で勝利した。準決勝一番乗りを決めた稲葉八段は、10月12日に行われる大阪大会で渡辺明九段(40)対豊島将之九段(34)戦の勝者と対戦する。
ともにタイトル戦の大舞台を経験している強豪同士の一戦は、稲葉八段が制した。振り駒の結果で稲葉八段の先手番に決まると、3手連続で端を突く驚きの出だしに。一間飛車からの飛車交換と前例のない力戦の将棋へと展開した。難度の高い手将棋に、後手の永瀬九段は持ち時間を慎重に使いながら冷静に対応。じりじりとした戦いが繰り広げられた。
何度も飛車がぶつかり合う激しい流れから、主導権を握ったのは稲葉八段。天王山から後手陣をにらみプレッシャーをかけると、2筋の垂れ歩を足掛かりに鋭く踏み込んでいった。しかし、永瀬九段も簡単には譲れない。先手玉へ目掛けて勝負手を放ったところから粘りに出ると、勝負術を駆使して流れを引き寄せてみせた。勝勢を築いていた稲葉八段だが、永瀬九段の持ち味でもある卓越した受けの技術に苦戦。一時は形勢を互角まで戻されたものの、最後は稲葉八段が押し切って大熱戦を制した。
この結果、稲葉八段が自身2度目となる準決勝に進出。終局後には、「序盤は予定の作戦だったが、早々に予定から外れてしまった。難しい将棋だったが、最後は良いところに手がいったかなと思う」と話し、一局を振り返った。次戦は10月12日に行われる大阪大会で渡辺九段対豊島九段戦の勝者と激突する。
JTプロ公式戦は前年覇者、タイトルホルダー、賞金ランキング上位者から12人が選出されるトップ棋士たちによるトーナメント戦。持ち時間は各10分、切れたら1手30秒未満、各5分の考慮時間。
(ABEMA/将棋チャンネルより)