アニメの世界が現実に!?製作者が語る“ロボット開発”のいまと未来「子どもたちが乗りたいと思うものを作る」
【映像】二足歩行の人型ロボット(動く様子)

 JR西日本の鉄道整備に、高所作業用人型ロボット「零式人機 ver.2.0」が導入され話題となっている。保線工事の人手不足や、作業員の安全確保を目的に導入されたものだが、AIではなく人間がコントローラーで操作するのが特徴だ。開発した滋賀県のベンチャー企業「人機一体」を取材した。

【映像】二足歩行の人型ロボット(動く様子)

 「零式人機 ver.2.0」は同社が技術開発を担い、日本信号が生産し、JR西日本に納入されたという。「人機一体」社長の金岡博士は、「単にロボットを1個作ればいいのではなく、平時からいろいろなところで使い、ロボット産業を維持する人とお金が回るようなグランドデザインの実現が重要だ」と語る。金岡博士は、すでに次なる二足歩行の人型ロボット「零一式カレイド」を手がけている。

「今の二足歩行ロボットの不満は、結局のところ腰が使われていないこと。下半身は単純に歩く動作を再現するために使われていて、全体として『下半身をどう使うか』は考えられていない。それを我々はやろうとしている」(金岡博士)

 いま世界では各社が、人型ロボットの開発にしのぎを削っている。宇宙開発にも積極的なイーロン・マスク氏は先月、テスラが開発を進めている人型ロボット「オプティマス」について、「できれば2026年には他社向けに大量生産する予定だ」とXに投稿。来年にはテスラの自社工場で1000台以上を稼働させ、将来的に年間1兆ドル、約150兆円以上を稼ぐ構想を示している。

 労働力として期待される人型ロボットだが、金岡氏はその先を見据えている。8月1日に行ったコンセプト発表会では、関係者約350人の前で、「零一式カレイド」がお披露目された。

 「人による操作とオートバランスが重ね合わされ、一つの体を人間とコンピューターの“2つの頭”で同時に動かす」と説明されたカレイドの操縦席は、まるでロボットアニメそのもの。2本の手と、2本の足を、まるで自分の手足の延長線として操作できる。

 公開された映像では、コンピューターの学習能力が未発達で、まだ赤ちゃんのよちよち歩きのようだが、1年もすれば格段にスムーズな動作になるという。

「我々の世代は、アニメの中のロボットがカッコよかった。『ああいうロボットを自分も運転できるようになったらいいな』と、フィクションに対する夢・憧れだったが、今の子どもたちには、これをリアルだと思って欲しい。『あのロボットを運転できる仕事に就きたい』と、現実世界の憧れとして欲しい。もはや、そういう時代だ」(金岡博士)

 金岡博士には、ロボット工学技術を社会実装したいとの思いがある。「有事の災害復興にも劇的に役立つはずだが、有事に活躍するロボットを実現するためには、平時から当たり前に活躍していないといけない。インフラ分野から、自動化ではなく機械化を実現することで、平時で活躍するロボットが、有事でも役立つ未来が実現できる」と語った。

(『ABEMA的ニュースショー』より)

【映像】JR西日本が導入したロボット“零式人機ver.2.0”開発秘話
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