埼玉県が揺れている。名門・浦和高校や浦和第一女子は共学になるのだろうか?
事の発端は2023年8月、埼玉県の第三者機関「男女共同参画苦情処理委員」が県内に計12校ある男女別学校を早期に共学化するよう県教育委員会に迫ったことだ。
これに対して、浦和、浦和第一女子、春日部、川越女子の別学4校の同窓会長らが「公立の別学校も選択肢の一つとすべきだ」と反論したのだ。
全国に目を向けると、男子のみ・女子のみが通う公立高校数は減少している。一方で、埼玉県の2024年度の東大合格者数を見ると、浦和高校は44名(現役25名)、浦和第一女子高は2名(現役1名)という実績がある。
この点について教育経済学を専門とする慶應義塾大学の中室牧子教授は「私は『公立の男女別学校を選択肢の1つとすべき』という議論は傾聴に値すると思う。そのため、直ちに男女共同参画を理由に全て共学にすることは、どちらかといえば反対だ。理由は、男女共同参画の重要性はもちろん、別学の高い教育効果だ。例えば東大の合格者の7割ほどが別学出身者であるというデータもあり、別学の教育効果に関する研究も多数存在する。『別学の高い教育効果』という選択肢を望む人のためにも残した方がいい」と述べた。
その上で「もちろん、別学に学力の高い生徒が集まっているのか、別学へ行くと学力が上がるのか、わからないという問題はある」としつつ、韓国で行われた研究を紹介した。
「受験戦争が行き過ぎたソウルでは一時期、中学から高校に進学する時に、公立に関しては女子校、男子校、共学を意思に関係なくランダムに決められた。そして追跡調査の結果、別学の生徒の方が学力が高くなったことが複数の研究で証明されたのだ」
なぜ別学だと学力が高まるのか?
中室教授は「一つは、例えば女子は数学が苦手などと決めてかかる『ステレオタイプの脅威』から逃れられること。あるいは、男子校において男性の先生と男子生徒の組み合わせが学力を高める効果が高いなど、同性同士の方が影響を受けやすいという研究もある。総じて言えば、男性に合った教育、女性に合った教育があるということだ。能力は変わらなくても気質・性質は男女で違う。例えば、群馬県で行われた調査では、男子は好奇心とストレス耐性が強く、女子は共感性・寛容性が強いことがデータで分かっている。つまり、性質の違いをよく把握した上で教育ができる点は別学の良い点で、それが教育効果を高めている部分もあるのではないか」と分析した。
一方で中室教授は「もちろん、共学にもメリットはある」と説明する。
「明治大学の原ひろみ教授たちの研究で、かつて内容も教室も別々だった中学の技術・家庭の授業を1990年の学習指導要領の改定で男女一緒に行うようになったことで男性は家事をする時間が長くなり、女性は正社員になる割合が高くなったと証明された。おそらく、共学にすることは男女共同参画という観点からは正しく、この社会にとっても大切なことだ」
中室教授は最後に「それぞれのメリットのどちらを大事にするのかは個人の価値観であり、選択肢を残しておくことが大切なのではないか」と強調した。
(『ABEMAヒルズ』より)
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