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 先日出版された書籍『性格が悪いとはどういうことか?』が話題だ。「ダークな性格は、決して『自分には無関係なもの』ではありません。誰もが部分的に、持っている可能性はあるのです」と説くこの本では、「他人が困る姿を見たい」「自分さえうまくいけばそれでいい」など、よく言われる“性格が悪い人”について、心理学の観点から分析している。

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 人と人との間にうごめく“妬み”や“ののしり”、そして“憎しみ”。度を超えれば人間関係を壊しかねないが、一方で「性格が悪い人ほど成功する」という話もある。性格が悪いのはダメなのか。そもそも良し悪しは、何で決まるのか。『ABEMA Prime』では、専門家と「“性格が悪い”とは、どういうことなのか」を考えた。

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■「ダークな性格」の定義とは? 

 周南公立大学准教授の喜入暁氏は、「性格の悪さには、学問的な判断基準がない」と説明する。「一般的には、共通認識されている『性格のいい・悪い』で語られている」。一方で「ダークな性格」は学術研究されている。「社会的に問題を起こしたり、人に迷惑を掛けたりする傾向を持つ。共通認識の『性格の悪い人』と、学問上の『問題を起こしがちな人』は、比較的リンクしている」という。

 ダークな性格の一要素に、「衝動性」がある。「自分をコントロールできない、あるいは『これをしたらどうなるか』を思考しないで動いてしまう。『人を道具みたいに扱う』『人のことを全く気にしない』なども当てはまる」。どこで衝動性を発するかにも特徴が見られる。「ダークな性格を持つ人は、元々の性格を外では出さないようにしているが、見えないところでは出すことがある」ケースを述べた。

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■あなたは当てはまる?ダークな性格、4つのパターン

 ダークな性格には、4つの典型的なパターンがある。自分の利益のために他者を利用する「マキャベリアニズム」、他者への配慮や愛情を注ぐことに欠け、人が困っていても感情が動かない「サイコパシー」、自分の才能や重要さに誇大な自信を抱く「ナルシシズム」、他者に対して残酷で攻撃的、他者卑下的行動をとる「サディズム」だ。

 いずれも共通点として「自己中心的で、人のことを気にしないだけでなく、迷惑をかけても気にせず、直そうとも思わない」といった特徴がある。「例えばナルシシズムは、自己中心的に、相手をダシにして自分をよく見せる。自分が好きな相手に、友人が悪口を吹き込むケースにも、そうした部分がある」と事例を紹介した。

 17年の専業主婦を経て、65歳で起業した薄井シンシア氏は、「おそらく皆がこの性格を持っているが、それと戦い自分をコントロールすることで、いい人になっている」と考察する。「自分は周囲を気にせず自己中心的で、他人の利用法や、嫌な人への復讐は、とことん考えるが、絶対に実行はしない。性格の悪い部分と戦うのが人間で、勝って初めていい人になる」と語った。

 この見解を聞いた、喜入氏は「シンシア氏は、たぶんダークではない」と分析する。「行動に出てきてしまうのが『ダークな性格』。イラッとして、殴りたいと思っても、普通はやらない。でもダークな性格の人は、『傷ついてもいいや』と実行に移す。基本的には、行動があってダークな性格は成立する」。薄井氏は「どんなに悪いことを考えても、行動に移さなければ悪くない」と納得していた。

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■知っておきたい5つの性格特性“ビッグ5”

 “ビッグ5”と呼ばれる性格特性がある。外向性(一人より大人数が好き、外の世界に刺激を求める)、神経症傾向(ストレスに弱く、些細なことに過剰に反応)、開放性(文化的・知的・美的など新しい体験に興味がある)、勤勉性(真面目で責任感が強く、物事を達成させるのが得意)、協調性(周囲への配慮、自分よりも周りの利益を優先)の5つだ。

 NPO「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は、「協調性は自分に対して不利益になる可能性もある」と語る。「他人に気を遣いすぎて、自分のウェルビーイング(よい状態、幸福・健康)をどんどん下げていくケースもある」と指摘した。

 薄井氏も「協調性があると性格がいい」との論調に疑問を投げかける。「協調性がある人は、八方美人な部分もある。職場で上司に協調性があっても、周囲をハッピーにしたい思いが先立って、結果につながらなければ、周囲に迷惑をかけていることになる」とも述べた。

 喜入氏は「協調性が低く、意見がなくても、それ自体は迷惑をかけない。むしろ『自分から動いて』と言う人の方が、ダークかもしれない」と説明する。いわゆる「マウントを取る」ことは、「人をダシにして自分を上げる」ナルシシズムの特徴に当てはまる。

 いじめを見て見ぬ振りをするのはどうか。「ダークな人は『俺には関係ねぇ』と言い、協調性が高すぎる人は『丸く収めよう』と主張しない。結果的に同じ行動になる可能性がある」。反対に、いじめをやめるよう呼びかけるのは、「勤勉性が高く“ライト”な人」だ。

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■ダークな性格の持ち主がカリスマに見える?モテる?

 しかしながら、ビジネスなどでは、冷酷な判断が求められる局面もある。「リーダーシップを発揮して、トップダウンで決めることで、一時的な業績向上は予想される」。関係性の深さによっても、印象は変わってくる。「“自己中”は、自分のことをはっきり言い、アクティブなカリスマ性が見えるため、初手では魅力的に映る。ただ結局、長く付き合っていくと、失望していく」パターンもある。

 視聴者からは「性格の悪い人が、惚れられやすい。あの気持ちは何なのか」との疑問が寄せられた。テレビ朝日アナウンサーの田中萌は「わかる。いい人に行けばいいのだけど…」とつぶやくと、喜入氏は“ワル”への好印象も「カリスマ性」によるものだ。「自分がしっかりあって、話を盛ってでも『こう考えている』とアピールする。それが一時的であっても、カリスマ性につながる。そういう人は逆に『モテはするけど意外と続かず、とっかえひっかえする』といった失敗が多い」と指摘していた。
(『ABEMA Prime』より)

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