優勝を手繰り寄せる一瞬の判断が光った。レース中にストップする25号車を横目に、フルコースイエロー(FCY)を予見した65号車が即座にピットイン。この采配が見事に功を奏し、レースを独走状態で駆け抜けることに成功した。
8月4日、富士スピードウェイで開催されたスーパーGT第4戦決勝。GT300クラスでは、LEON PYRAMID(#65 AMG)がレースを圧倒的優位に進める神采配を見せた。
予選から好調な走りを見せ、ポールポジションを獲得していた65号車はこの日も順調な走りで首位をキープ。するとレースは27周目、65号車 篠原拓朗の目に、ある光景が飛び込んだ。それは、ダンロップコーナー先で不自然にストップしていたHOPPY Schatz(#25 GR Supra GT)だ。
これを見た篠原は即座にFCY(コース全域で追い越し禁止かつ全車規定速度80km走行)の可能性を考え、監督兼第3ドライバーの黒澤治樹にピットインを提案。しかし、レースは序盤、40周以上を残した状態だ……。
それでも、黒澤監督は早々のピットインという賭けに出た。
この判断は大成功だった。篠原が予見した通り、直後の29周目にFCYが発令。コースに残った各車がピットインをせず、走行スピードが制限されて追い越しもできない中で65号車は作業を完了し、ピットアウト。
そのまま悠々とコースに復帰すると、慎重な燃料管理のもと再び独走。結果、2位との差を30秒も広げて、ポール・トゥ・ウィンを成し遂げた。
この神采配にファンは「完璧だった」「離れ業だ!」「またとないタイミング」と大絶賛。そして、65号車は、GT500クラスを差し置いて、第4戦のファンが選ぶ「J SPORTSベストパフォーマンス賞」に見事選出された。
(ABEMA『ABEMA SUPER GT ダイジェスト』/(C)GTアソシエイション)