「オーストラリアにワーホリに行ったら大金をゲットできる。そんなパターンをよく見かけたが、実際には苦労する部分、違う部分もあった」
現在オーストラリアに滞在しているせっきーさんは、今年1月にワーキング・ホリデー(ワーホリ)を利用してオーストラリアへ。4カ月間語学学校に通った後、現在は現地の暮らしをSNSで発信している。
「オーストラリアに来て1カ月経った段階で仕事探しを始めたが、結論から言うと見つからなかった」(せっきーさん、以下同)
オーストラリアは最低賃金が日本円で約2,300円と言われているが、せっきーさんを待っていたのは壮絶な職探しだった。
“レジュメ配り”をして130件ほど応募したが、面接に進んだのは3件だけ。仕事が決まらず、貯金がすり減る日々だったという。
「日本円で月14万円ぐらいの家賃を支払い、生活費もかかった。気軽に外食はせず、自炊して食事代を抑えた。仕事が見つかるまでの2〜3カ月は結構きつかった。継続して仕事を探し、現在は3つの仕事を持っている」
海外に行く前に仕事を決めておけば…とも思うが、せっきーさんによると、専門的な技能が求められる仕事以外は基本的に現地で見つけるしかないのが実情だという。また、仕事が決まっても簡単に解雇されることも。
「例えば飲食店で皿を一枚割って即日クビになったり、『あなたの英語のレベルでは雇えない』と4日でクビになることもある」
ワーキング・ホリデー制度は現地に滞在しながら滞在中の資金を補うための就労を条件付きで認める制度。しかし、せっきーさんのように現地での就労を前提に渡航したものの仕事が見つからず、食べるものに困っているケースもある。
オーストラリア・ブリスベンで困窮者に向けて炊き出しを行うジミーさんは「たくさんの留学生が食べ物を受け取りに来ている。1週間に30〜40人の日本人が炊き出しに来ているがみんな若い」と実情を話す。
炊き出しに来る様々な人を見てきたジミーさんは「助けを求めに来ることは悪いことではない」とした上で、次のように指摘した。
「彼らは現地の言語を話すことができない。若い人たちは間違えることが恥ずかしいからと喋ろうとしない。自国を発つ前に言語を学んだ方が良い」
十分な語学力がないまま渡航した結果、周囲と馴染めず孤立してしまうケースもあるという。
現地で職探しに苦労したというせっきーさんも「僕はゼロとは言わないが全然喋れない。語学学校は10段階の『4』で入って『6』で卒業した。職場でも『あなたは分かっているか曖昧な時にも『YES』と言うが作業をやらせてみたら全然理解していなくて困る。分からない時は聞いてくれ』と言われた。少しずつレベルアップするしかない」と話す。
ジミーさんは語学力と共に仕事を探す努力が必要だと話す。
「家から出ず、寝っ転がってテレビを見ていても仕事は見つからない。何をすればいいのか、どこへ行けばいいのか、あなたの行動次第で周りは仕事を得る手助けをしてくれる」
外務省は、渡航目的を実現し有意義なワーキング・ホリデーを送るために、渡航前の十分な情報収集を呼びかけている。またビザの取得方法や渡航情報の発信など支援を行っている日本ワーキング・ホリデー協会は「十分な語学力は前提の条件」とした上で、次の点を強調している。
「考えなしに行くのではなく、目的・目標を明確化することが最優先。語学習得か仕事をしに行くのか。仕事をしに行くのであればどのレベルの仕事をしたいのか? 稼ぎたいのか? キャリアアップにつなげたいのか? 集めた情報を整理することが重要だ」
自身も90年代に海外留学をしていたというSchooエバンジェリストの滝川麻衣子氏は「円安の今は気軽なワーキング・ホリデーが許されない時代だ」と指摘した。
「90年代も高い語学力がないままワーキング・ホリデーで来ている日本人は割といたが、炊き出しに並ぶような困窮した話は聞いたことがなく、円が弱くなったことを感じる。円安であるため、ワンコインでランチが食べられる日本と異なり、オーストラリアでは下手したらランチで1万円を越えてしまう。仕送りや貯金が少しあってもすぐに底をついてしまうだろう。仮に比較的稼ぐことができても生活費が高いため可処分所得はあまりない。若いうちに挑戦して“失敗してみる”という道もあるが覚悟は必要だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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