「ドラゴンボール」の人気に火がついたきっかけの1つに、数々の名勝負を生んだ「天下一武道会」があることは間違いない。笑いあり、ドラマありの白熱バトルは手に汗握って見入ったものだ。天下一武道会といえばこの人なくしては語れない、そんな人物がいたことを覚えているだろうか。
【映像】「孫さんのいない武道大会は寂しかったですよ」(17分34秒ごろ~)
アニメ「ドラゴンボール改」は、1989年から1996年まで放送されたアニメ「ドラゴンボールZ」のデジタルリマスター再編集版。サイヤ人編~人造人間・セル編までの第1期が2009年から2011年にかけて放送され、魔人ブウ編の第2期が2014年から2015年に放送された。原作は「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載された鳥山明氏による大ヒット漫画で、シリーズ累計発行部数は全世界で2億6000万部を超える。
天下一武道会の白熱バトルの盛り上げ役といえば、“アナウンサー”(CV:西脇保)の実況をおいて他にないだろう。第21回大会では亀仙人扮するジャッキー・チュンとクリリンとのバトルで、目にも止まらぬ速さでバトルを繰り広げる2人にまったくついていけず、試合を中断させてまで攻防の解説を求めたり、孫悟空(CV:野沢雅子)とマジュニア(ピッコロ、CV:古川登志夫)が優勝を争った第23回大会では観客が全員逃げ出すなか、ひとり残って実況を続けブルマ(CV:鶴ひろみ)に「プロね…」と言わしめたほど。
「ドラゴンボール改」で悟空たちが宇宙を恐怖のどん底に陥れた魔人ブウ(CV:塩屋浩三)との戦いに勝利してから10年後、“すごそうなヤツが出場するから”という理由で悟空は途中棄権した第25回天下一武道会以来3大会ぶりの出場を決意した。
当然のように本選出場を決め、組み合わせのくじ引きの際に悟空とアナウンサーは10年ぶりの再会を果たした。何も変わらぬ様子で「よう!」と声をかけた悟空の挨拶も感慨深かったが、それとは対照的に「おひさしぶりですね。孫さんのいない武道大会はさみしかったですよ」と返答したアナウンサーの言葉にグッときた人も多かったはずだ。
長きに渡り続いた物語の最後の舞台が天下一武道会。そこで2人が交わした会話はたったこれだけだったが、悟空が天下一武道会になくてはならない存在だということがよくわかる一言は、まさにアナウンサーの名言のひとつと言っていいだろう。
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