「逃げ上手の若君(にげじょうずのわかぎみ)」(通称:逃げ若)は、御家人の謀反により家族を奪われ、国を追われた少年武将の成長を描くスリリングな逃亡譚です。現在「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載され、2024年9月現在、既刊17巻の累計発行部数は300万部を超えています。第69回小学館漫画賞を受賞した、いま注目の話題作です。
「逃げ若」は2024年7月6日からアニメも放送開始され、ますます注目を集めていますが、その作者は、いったいどんな人物なのでしょうか。作者のプロフィールやSNSアカウント、他作品の情報をピックアップしました。
目次
- 「逃げ上手の若君」とは
- 「逃げ上手の若君」の作者は松井優征氏
- 「逃げ上手の若君」作者が北条時行を主役にした理由
- 「逃げ上手の若君」は3作目のアニメ化作品!
- 実写映画や、多数のゲーム化も!
- スピンオフ作品「殺せんせーQ!」
- 「逃げ上手の若君」作者まとめ
「逃げ上手の若君」とは
史実をもとにした「逃げ上手の若君」の舞台は、1300年代の中世日本。歴史上の区分では鎌倉時代から南北朝時代と呼ばれる、武士が力を持っていた時期にあたります。
主人公・北条時行(ほうじょう ときゆき)は、鎌倉幕府の実権を握る得宗家当主の次男です。時行は次期当主と目されていますが、地位や名誉に無関心で、武芸の稽古を強いる家臣から逃げることを得意としていました。しかし、北条家に仕える御家人で後の征夷大将軍・足利尊氏(あしかが たかうじ)の裏切りにより、時行は家族や地位を失ったうえに、残党として命を狙われることになります。
未来を見通す力を持った神職・諏訪頼重(すわ よりしげ)に導かれた時行は、“戦って死ぬ”ことを美徳とする時代に“逃げて生きる”術を極めながら、武将としての才能を開花させていきます。
「逃げ上手の若君」の作者は松井優征氏
「逃げ若」の作者・松井優征(まつい ゆうせい)氏は、埼玉県出身の男性漫画家です。10代のころから漠然と絵を描く仕事を志していた松井氏は、高校で漫画研究会に所属。19~20歳のころから、集英社へ作品の持ち込みを始めます。
21歳のとき、読切作品「ラビングデッド」にて2000年10月期の月例賞特別賞を受賞。「ボボボーボ・ボーボボ」の作者・澤井啓夫氏のアシスタントとしての活動を経て、連載デビュー作となる「魔人探偵脳噛ネウロ」を制作。2004年に第12回「ジャンプ十二傑新人漫画賞」にて準入選しました。
2024年9月現在、松井氏個人のSNSアカウントは公開されていません。裏話や最新情報が気になる方は、作品の公式アカウントをチェックしてみてください。
また、松井氏の素顔や人柄が見られる動画が「ジャンプLIVE」(現:少年ジャンプ+)にてアップされていました。該当の動画は「JOJO's Kitchen 荒木飛呂彦 パスタを作る」です。YouTubeの週刊少年ジャンプ公式チャンネルにて無料公開中の予告編でも、松井氏が「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズ作者の荒木氏とともに料理を作る姿がチェックできます。
気になる企画の内容は、松井氏が「ジャンプLIVE」にて短期連載していたルポ作品「松井優征が荒木飛呂彦の手料理を食べる企画」でも描かれています。
「逃げ上手の若君」作者が北条時行を主役にした理由
作者の松井氏はインタビューにて、鎌倉幕府最後の得宗の息子“北条時行”という、これまであまりスポットライトが当たったことのない人物を主役に抜擢した理由を明らかにしています。
第一の理由として挙げたのは、その波瀾万丈な人生に少年マンガの主役としての華があること。時行は一族の敵討ちを胸に、ただ1人の宿敵を決してあきらめずに追い続けた武将です。その神出鬼没な戦いっぷりを含め、主人公適正に満ちた人物だと語っています。
また、“ほぼ無名な武将”という題材が、作家としての描き甲斐になっていると語っていました。時行を「少年漫画というジャンルでしか感情移入してもらえない稀有な武将」と称し、漫画の題材とすることで「このままでは永遠に埋もれてしまう武将に光を当てる事ができる」と明かしています。
そして、名前がほとんど残っていない武将だからこそ発信できるメッセージにも言及していました。時を経て歴史に忘れ去られた北条時行は「我々一般人と大して変わらない」として、「そういう人の人生を丁寧に書く事で、みなさんが一所懸命に生きている事もまた歴史の大事な一ページである事が伝わればいい」という想いあるとのこと。その想いが「逃げ若」のキャラの個性豊かな脇役たちや、独自の世界観につながっているようです。
「逃げ上手の若君」は3作目のアニメ化作品!
松井氏の連載作品は、デビュー作から最新作「逃げ上手の若君」まで3作連続でアニメ化されています。ここでは、過去にアニメ化された2作品をピックアップします。
1作目:「魔人探偵脳噛ネウロ」
「魔人探偵脳噛ネウロ(まじんたんてい のうがみネウロ)」は、2004年に第12回「ジャンプ十二傑新人漫画賞」にて読み切り版作品が準入選しました。その後、2005年から2009年にかけて「週刊少年ジャンプ」にて連載され、単行本は全23巻が発行されています。
アニメ「魔人探偵脳噛ネウロ」は2007年10月から2008年3月にかけて放送されました。
■あらすじ
謎を主食とする魔人・脳噛ネウロ(のうがみ ネウロ)は、究極の謎を求めて人間界へやってきます。ネウロは父親を亡くした女子高生・桂木弥子(かつらぎ やこ)を隠れ蓑に、魔界の道具で難事件を次々に解決し、謎を喰い尽くしていきます。
2作目:「暗殺教室」
「暗殺教室(あんさつきょうしつ)」は、2012年から2016年まで「週刊少年ジャンプ」にて連載。全21巻発行された単行本を含むシリーズ累計発行部数は2700万部を突破しています。
アニメ「暗殺教室」は、1期が2015年1月から 6月、2期が2016年1月から 7月にかけて放送されました。TVアニメの総集編である「劇場版 暗殺教室365日の時間」は、スピンオフ作品「殺せんせーQ(クエスト)!」とともに2016年11月19日より期間限定で上映されました。
■あらすじ
問題児が集う椚ヶ丘中学校3年E組。その担任として現れたのが、月の7割を破壊した謎の危険生物・殺せんせー(ころせんせー)です。「来年3月までに自分を殺せなければ地球を破壊する」と脅迫された政府は、殺せんせーを抹殺すべく、3年E組の生徒たちに暗殺を依頼します。生徒たちは成功報酬100億円に惹かれ、殺せんせーの命を狙いますが……。
実写映画や、多数のゲーム化も!
「暗殺教室」はTVアニメ以外にも、さまざまなコンテンツが展開されました。ここでは、「暗殺教室」の実写映画・ゲーム・イベントの情報をまとめて紹介します。
■実写映画化
暗殺教室(第1作) 2015年公開 キャスト:山田涼介、菅田将暉、二宮和也 ほか
暗殺教室〜卒業編〜(第2作) 2016年公開 キャスト:山田涼介、菅田将暉、二宮和也 ほか
■ゲーム
暗殺教室 殺せんせー大包囲網!! (ニンテンドー 3DS)
暗殺教室 アサシン育成計画!!(ニンテンドー 3DS)
暗殺教室 囲い込みの時間(スマホゲーム)
■リアル脱出ゲーム
第1弾「暗殺教室からの脱出」
第2弾「暗殺教室からの脱出2」
スピンオフ作品「殺せんせーQ!」
「暗殺教室」の殺せんせーがRPGの魔王になった、公式スピンオフ作品「殺せんせーQ!」もあります。原作の松井優征氏、企画・ストーリー担当の渡邉築氏、作画担当の青戸成氏により、2015年10月から2019年10月まで「最強ジャンプ」(集英社)にて連載されていました。
「殺せんせーQ!」はアニメ化もされ、2016年12月から2017年3月まで放送されています。
「逃げ上手の若君」作者まとめ
「逃げ上手の若君」の作者である松井優征氏は、デビュー作「魔人探偵脳噛ネウロ」と「暗殺教室」に続き、3つの連載作品が連続でアニメ化したヒットメーカーです。「暗殺教室」は実写映画やゲームとしても展開されました。現在、作者個人のSNSアカウントは公開されていません。
「逃げ上手の若君」は、実在した少年武将を主役とした史実に基づく逃亡譚です。作中の世界観や設定には、史実に残された北条時行の人物像や時代背景を色濃く反映していると松井氏は語っています。作者である松井優征氏のインタビュー対談などで作品観を深めつつ、「逃げ若」の物語をさらに楽しんでみてはいかがでしょうか。
(C) 松井優征/集英社・逃げ上手の若君製作委員会