全国2300人のプロ選手を抱える競輪競技。そのプロアスリートを選出する日本競輪選手養成所では、根性論で厳しく指導してきた“昭和”から大きな変化を遂げた。コンプライアンスを遵守した“令和”の指導方法に元MLBの川﨑宗則やサッカー元日本代表の槙野智章も興味津々となった。
9月1日に放送された『ABEMAスポーツタイム』では、プロアスリートの養成所に潜入し、競輪選手を目指す候補生たちを取材した。
競輪選手は全国に約2300人おり、最もプロが多いスポーツ。他競技からの転向者も多く、松本山雅FCやSC相模原でJリーガーとして活躍した北井佑季は、今年のビッグレースで初優勝を成し遂げた。プロ野球からも転向者は多く、番組MCを務める川﨑が所属した福岡ダイエーホークス(現:福岡ソフトバンクホークス)の後輩である北野良栄も活躍している。
別競技からの転向者が多い競輪だが、誰でもプロとしてすぐに競争に出場できるわけではない。競輪選手になるためには国家資格が必要で、そのために養成所に通う必要がある。
日本で唯一の競輪選手養成所である『日本競輪選手養成所』は静岡県伊豆市の山奥にあり、男女合わせて90名の候補生が在籍する10カ月の全寮制だ。
昭和から平成にかけての競輪選手養成所といえば「強いメンタルを育む」ことを第一に、『地獄の坂登り』や『上半身裸での寒風摩擦』『裸でのマラソン』など、ハードなトレーニングが行われてきた。しかし令和の時代になり、育成機関が変わったことで指導方法は大きく変わったようだ。
勤務歴20年以上のベテラン教官は「今の時代は根性論だけでは理解しない、個人の尊重を重視している」と語る。自主性を尊重しコンプライアンスを遵守することで、候補生たちものびのびと過ごしている。
時代にあった教育の効果か、世界で活躍する選手を次々に輩出している。2021年に卒業した太田海也と中野慎詞は、今夏に行われたパリ五輪に出場。太田は、男子チームスプリントの一員として5位決定戦で日本記録を更新する42秒078のタイムを叩き出した。中野も予選敗退に終わったが男子4000メートル団体追い抜きで五輪を経験するなど、日本から世界レベルの選手が続々と輩出されており注目度が高まっている。
(ABEMAスポーツタイム)