TEAM雷電・瀬戸熊直樹(連盟)は「楽しむ」覚悟を決めた。チームはプロ麻雀リーグ「Mリーグ」2023-24シーズンで▲484.5と8位に沈み、今期レギュラーシーズンでの敗退が決まると、選手の入れ替えが必須となる。瀬戸熊は「本当にキツいシーズンになる」と自覚した上で、「今までで一番楽しもうと思っています」と宣言した。酸いも甘いも知るプロ歴27年のベテラン雀士がたどり着いた境地だ。
―チームとして、また個人として昨期の振り返りを。
瀬戸熊直樹(以下、瀬戸熊) 個人としてはプラスマイナスゼロ程度で終わったのですが、途中70〜80くらいのプラスがあって、その時にフワッと打ってしまったのがよくなかった。大振りになってラスを引き、プラマイゼロに戻るという繰り返しをしてしまいました。もう少しコツコツ伸ばせるようにすればよかったと思います。チームとしては終盤までなんとかなるような位置にいたのですが、最後にバタバタしてしまいました。
―シーズン中に「Mリーグの麻雀の変化があった」ということを話す選手も多かった。
瀬戸熊 新加入の選手は攻撃型の選手が揃っていた。猿川(真寿)さんや(鈴木)大介さん、(渡辺)太さん。僕にとってもやりやすいシーズンになるのではと思っていました。そこに乗っかってしまえば良かったのですが、その前の経験が邪魔をしたのか、丁寧に打つ場面も多かったです。荒々しく面白い麻雀を追求していれば、波に乗れたのではないかと思います。
―セガサミーフェニックスに竹内元太選手、浅井堂岐選手が加入するが、また雰囲気は変わりそうか。
瀬戸熊 両者とも何回もやったことがありますが、強者です。経験を持っている2人だと思います。一方で、選手が増えシーズンを通して当たらないことも増えてきたので、そこまで気にするのも良くないと思っています。
―試合で結果が出ない時の切り替えは。
瀬戸熊 Mリーグは勝った時も負けた時も反響がすごい。麻雀はだいたい負けるゲームで、4回に1回しか勝てないゲーム。落ち込んで帰る日が多いのですが、落ち込んでもしょうがない。逆に僕は麻雀界で食べられなかった時代を知っているので、それから考えれば今はとても幸せ。なかなか楽しめないですが、楽しまないと損。カラ元気でもいいから楽しんだ方がプラスに作用すると思っています。塞ぎ込んでもしょうがないので、ここ3年ぐらいは絶対落ち込んでいる感じは出さないようにしています。
僕自身3年くらい前は麻雀を楽しめていない時期があった。楽しくて職業としているのに、なんでこんなに負けただけで辛いのかと。勝った日の達成感などはもっと味わった方が良い。「やりきった」というのを今日の喜びしてやろうというのが少なかった。せっかくこの場に立てるのであればもう楽しむしかないなと。今期は本当にキツいシーズンですが、今までで一番楽しもうと思っています。
―楽しもうと思ったきっかけはあったか。
瀬戸熊 せっかく自分でやりたいことを職業にしているから、楽しまなきゃ損だなと思いました。幸せな人生を歩ませてもらっていると思うので。準備は辛くてもいいですが、その準備がしっかり終わっていればそのステージでは楽しんでもいいのかなと思っています。
―YouTube「エガちゃんねる」では「麻雀界イチのあたおか」と紹介もされた。
瀬戸熊 ありがたいことに(笑)。解説として参加させてもらいましたが、僕は解説の時は本当に楽しんでいます。計算ではなく、僕が楽しんでいれば視聴者の方々にも自ずと“楽しい”が伝わると思うので。本当にリラックスしてやっているし、言いたいことを言っているし、なにより「エガちゃんねる」に出させてもらっていたのが光栄で、一番の特等席で見させていただきました。その楽しさを伝えなければいけない。麻雀はすごく緊張しますが、解説は1回も緊張したことがない(笑)。
―最強位を取り、その後に解説をして楽しんでいたことも影響があった。
瀬戸熊 最強位を取る前にA1リーグから落ちたんです。ただ、落ちる数カ月前からそこにしがみついているだけの自分に気が付きました。落ちたのであればそこから這い上がればいい。また力を付けて上がれば、また決定戦で戦えるでしょうと。そこから落ちるのが怖くなくなった。結構サバサバしていたし、最強位もご褒美でもらった。初心に戻って楽しかった時を思い出そうと。以降、全ての仕事を楽しもうと思えるようになりました。
◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズン各96試合(全216試合)を戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。各チーム20試合(全30試合)を戦い、さらに上位4チームがファイナルシリーズ(16試合)に進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)