11月のアメリカ大統領選に向けたハリス副大統領とトランプ前大統領によるテレビ討論会が行われたが、双方どのように評価されたのか? 専門家に聞いた。
アメリカの政治や外交に詳しい同志社大学大学院の三牧聖子准教授は「ハリス氏のパフォーマンスが予想以上に良かった」と振り返る。
「実は、ハリス氏は8月下旬に行われたCNNのインタビューでは硬かったため、即興の質問に対してどれだけ答えられるか疑問視されていた。だが、討論会では大方の予測を裏切り、効果的なパフォーマンスを見せた」
討論会では発言中にマイクがオフになるものの、その表情などが映し出されるのだが、ハリス氏は笑顔を交えながら動画の切り抜きを意識した表情・態度もとっていたという。
一方のトランプ氏は「(オハイオ州)スプリングフィールドでは、移民が犬や猫を食べている。住民のペットを食べている」などと発言。
これらに対しては「ファクトチェック」が行われ、司会に訂正される場面が度々あった。例えば、人工妊娠中絶をめぐり一部の州では赤ちゃんの処刑が行われているとの主張には司会から 「この国には、生まれたばかりの赤ちゃんを殺すことが合法な州はない」と指摘された。
三牧准教授も「今回の討論会で虚偽の発言が圧倒的に多かったのはトランプ氏だと複数のメディアが評価した。トランプ氏は司会者に対してかなりいらだち睨みつけるようになった。“3対1の戦い”だと感じていたのだろう」と説明した。
発言の時間が長かったのはトランプ氏だったが、その場を制したのはハリス氏だったと三牧さんは分析。
ただし、環境問題など一部の政策をめぐっては、ハリス氏が発言を180度変えたところもあったという。
「フラッキング(天然ガスの採掘方法)について、天然ガスが豊かなペンシルベニア州の人々の心を掴むために『私はこれまでブラッキングを許容してきた』などと上院議員時代や前回の大統領選時に掲げた姿勢を180度変えた」(三牧准教授)
接戦州を取りに行くための判断によって、気候変動問題に関心のある若者を幻滅させる可能性も。それでも、全体としてはハリス氏がうまくアピールできた討論会だったと三牧准教授は話す。
「前回のバイデン・トランプ討論会でバイデン氏のパフォーマンスが低かったため、今回のハリス氏のパフォーマンスは期待値が低かった。そのこともあり点数をつければ90点、あるいはそれ以上という評価。トランプ氏は本来もっとできたであろう政治批判などができなかったため、個人的には60点ほどだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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