27日に投開票を迎える自民党総裁選、11月5日に投票が行われるアメリカ大統領選。どちらも“先が見えない展開”となっているが、複数考えられる「自民党の総裁×アメリカ大統領」の組み合わせで最も相性が良いのは誰と誰なのか?
日本大学危機管理学部教授/東京工業大学特任教授の西田亮介氏に聞いた。
西田氏は「誰が大統領になっても日米の安全保障は比較的安定的だ」と述べたうえで、「日米の連携は日本周辺の安全保障だけではなく、アメリカをはじめとする自由主義諸国の環太平洋エリアの安全保障の要になっているといってよい。どちらが大統領になっても大きく変わるものではないし、あってもいけない。ただし第2次安倍政権の“トランプ&安倍”のような特別親密な日米関係を構築できるかどうかは見極めのポイントになる」と説明した。
【小泉進次郎元環境大臣が総裁になった場合】
「小泉氏は第二次安倍政権時の環境大臣だ。第二次安倍政権時にトランプ氏と安倍元首相は親密であったため、『トランプ氏に思い出してもらうこと』を切り口にできるのではないか。対して、ハリス氏が勝利すればアメリカ初の女性大統領であり、アメリカ社会を大きく変えることになる。もし、40代の小泉総裁が誕生すれば、年功序列的とみなされがちな日本社会を変えた、『変化をもたらした首脳』として良好な関係を形成できるのではないか。しかも小泉氏にはアメリカへの留学経験もある。お互いに変化をもたらした首脳として共通点はあるはずだ」
【高市早苗経済安保担当大臣が総裁になった場合】
「高市氏は自民党総裁選の中でも『安倍元総理の意思を継いている』と話すなど、安倍元首相の後継者的ポジションを自認している。安倍元首相との関係を強調しながらトランプ氏とも関係性を作っていくことができるかもしれない。高市氏がもし総理大臣になるとすれば、日本で女性初の総理大臣になる。政治の分野で女性の躍進が遅れている日本で総理になるとすれば、世界的にはいろんなことを変えたリーダーとしてみられるはずだ。タカ派的とされる安全保障観も世界的には案外普通だ。国内での捉えられ方と海外からの捉えられ方は違うのではないか。また、ハリス氏が大統領になった際もゼロから関係性を作る際は共通点を探していくことができるだろう。初の女性大統領、初の女性総理となれば端的な共通点。関係を築きやすいのではないか。高市氏は政策通でもあり、安全保障や防衛に対する関心も高い。日本の安全保障を強化するということは、アメリカの防衛装備を今以上に受け入れ得るということでもある。ということはアメリカの軍需産業全般にとってポジティブであり、ハリス氏、トランプ氏どちらが大統領なってもアメリカの利益と直結するため好ましい関係になるのではないか」
【石破茂元幹事長が総裁になった場合】
「石破氏は安全保障分野・防衛分野への造詣が深いがトランプ氏による不規則だったり、あるいはデタラメで一般的ではない安全保障分野の発言に直面したような場合に、柔軟に対応できるのかやや疑問を感じる。許容できるか、受け流せるか未知数だ。また、“ハリス大統領”が誕生した際、日本の政治家が年功序列的でジェンダーもアンバランスな中で、石破氏では共通点をあまり見出しにくいのではないか」
【林官房長官が総裁になった場合】
「林氏は大変政策通で真面目な印象ながら柔軟な方であり、支持率が低迷し続けた岸田政権で官房長官として難しい舵取りを担ってきた人物だ。トランプ氏との関係も卒なく築いていけるのではないか。また、林氏は岸田派でもあり、バイデン政権を継承すると言っているハリス氏が大統領になる場合にも『岸田政権の延長線上』として理解しやすいのではないか。しかも林氏は海外経験も豊富、英語でカラオケするという話も耳にしたことがある」
◼️総裁選の行方は?
「派閥の影響力が弱くなっている中、これだけ多くの候補者が立候補しているため予想は難しい。一般には小泉氏と石破氏が競っていると言われているが小泉氏石破氏の決選投票になる場合、国会議員のウェートが高くなる決選投票では国会議員人気が高い小泉氏が有利に思える。一方で、小泉氏と高市氏の決選投票となった場合、予想より高市氏が善戦するかもしれない。高市氏は安倍元総理と関係性が近く、保守系媒体に頻繁に登場するなど保守陣営との関係も深い。最後二人になって競うとなった場合、他の候補者もどちらかを支援することになる。高市氏のほうが政治経験が長く、閣僚経験も豊富だ。対して小泉氏は政策論にかなり不安定なところがあることに加えて、父の小泉純一郎元総理と同じように突如として“自民党の常識ではないこと”を主張することもある。この不安定さが自民党議員らに好まれるかどうかだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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