9月11日に京セラドーム大阪で行われたオリックス・バファローズ対千葉ロッテマリーンズの一戦で、オリックス・西川龍馬のキャッチとその後のプレーをめぐって両軍ベンチが相次いで抗議し、判定が二度も覆るというなんとも珍しい事態が発生。この一幕について、元・NPB審判員の坂井遼太郎氏が言及した。
1-0、ロッテが1点リードで迎えた2回表・ロッテの攻撃、1死一、二塁と追加点の好機で、8番・田村龍弘が放った打球は、レフト方向へのやや浅めの飛球に。この打球に対し、オリックスのレフトを守る西川龍馬は懸命に前進し、そのままスライディングキャッチを試みた。これを三塁塁審はワンバウンドキャッチと判定したのち、ダイレクトキャッチに判定を変更した。ロッテの二塁走者の中村奨吾と一塁走者の藤原恭大はそれぞれ帰塁したが、レフトの西川はすかさずセカンドの太田椋へと送球。太田は西川からの送球を受けると、すでに帰塁していた二塁走者の中村にタッチ。続けて二塁ベースも踏んだ。するとこのプレーに対し二塁塁審は、打球がワンバウンドであったとして、中村のタッチアウトと藤原のフォースアウトをともに認め、なんとも珍しい形でのダブルプレー成立でチェンジとなった。
すると、この判定に納得がいかないロッテベンチが動き、吉井監督が抗議。そして審判団による協議の後、なんとダブルプレーの判定が覆り、西川が打球をダイレクトキャッチしていたとして、一転「2死一、二塁からプレー再開」という形がとられることとなった。
判定が覆ったことで、今度はオリックスベンチも動き出し、西川のキャッチがダイレクトかワンバウンドかを確認するよう、中嶋監督がリクエストを要求し、リプレイ検証が実施された。中継で紹介されたスロー映像でも、西川はショートバウンドした打球をキャッチしていることが確認できていたことから、検証の結果、再び判定が覆り、西川のキャッチは“ワンバウンド後のキャッチ”として正式に認められ、当初の判定通り「ダブルプレーでチェンジ」という形に。試合の序盤にして、両軍とも判定にしばし翻弄され続けるという不本意な形となってしまった。
9月13日に放送された『バズ!パ・リーグ』(ABEMA)では、改めてこのプレーについてVTRを交えつつ紹介。その際に、オンライン取材に応じた坂井氏は「三塁審判が“ノーキャッチ”というジャッジを最初はしていたが、“キャッチ”という判定に変更したことが揉めた原因になったのかなと思います。客観的な意見としては、三塁審判に落ち度があり、他の審判は最初のジャッジに対してプレーをしているので問題ない」と、三塁審判が一度下した判定を覆してしまったことがこの事態を生んだ要因であるとコメント。
その上で、レフト・西川のキャッチへの判定そのものについては、「レフトの選手がスライディングキャッチのような形だったので、おそらく足や体がブラインドになって、見えにくくなっているが、あの打球は三塁審判がもっと角度をつける、(自分の立ち位置を)ショート側に降りるなどして対応した方が良かったかもしれない」と、判定を下す際に、捕球の瞬間をしっかりと見極められるよう、よりプレーが見やすい場所に動く工夫をすべきであったと指摘した。
さらに、判定を覆すことについては「本来はよくないこと。ただ審判をしている以上、正しい判定に変えたい思いはわかりますし、映像を見た瞬間『そうだろうな』とこれまでの経験上すぐにわかりました。リクエスト制度ができたことで、映像を見て判定を変えられる。仮にジャッジが間違っていると思っても、一旦は貫き通すべき」としつつ「(判定を)変更せずにプレーを終わらせていれば、今回のような混乱はなかったのではないか」と推察した。
(ABEMA『バズ!パ・リーグ』)