過去最多9人によって争われた、与党・自由民主党の総裁選。高市経済安保担当大臣と石破元幹事長の決選投票となり、石破氏が5回目の挑戦にして選出された。
第1回投票では2位だった石破氏は、なぜ逆転できたのか。裏でどのような駆け引きがあったのか。『ABEMAPrime』でジャーナリストらに話を聞いた。
元NHK政治部記者でジャーナリストの岩田明子氏は、「石破さんはもう5回目の勝負。地方創生大臣の経験もあり、地方で知名度が高かったことがベースにある」とした上で、「党員票では高市さんが勝っていた。なぜ議員票でひっくり返ったかだが、小泉陣営や、本来なら応援していた小林陣営の中で、“高市さんでは選挙に勝てない”と石破さんに入れた方がいるのではないか」との見方を示す。
また、議員から聞いた話として、「高市さんは少し不器用なところがある。前回の総裁選後、議員の人たちと時間を共有することが少なく、『アフターケアがちょっと…』と言われたりしていた。今回はどの候補も当日、一人ひとりに『最後のお願いです』と電話をかけていたが、高市さんはショートメールだったようだ。熱意や必死さが伝われば人の心も動くが、そういうところもあった」と明かした。
アクティビスト個人投資家の田端信太郎氏は「決選投票の前に2人の演説があったが、高市さんの演説はすでに勝ったような感じで、油断やおごりがあったのではないか。支援した麻生さんが石破さんに拍手もしない態度を含めて、まさかという展開だったのか」と尋ねる。
これに岩田氏は「高市陣営の中では“やった!”という空気感を出した議員の方が何人かいたようだ。今回は派閥が解消されてから初の総裁選で、勝手にどんどん出馬するなどコントロールがきいていなかった。しかし、やはり終盤になると麻生さんや菅さんなどいろいろな人が出てきて、票を動かす流れが出てきた。推薦人が20人いる中で、議員票が20を割るのはあり得ないこと。それが今回出てきたのは、第1回投票から剥がす動きがあった。それだけ秩序がなく、麻生さんも必死だったことがうかがえる」と述べた。
慶応大学2年生、ライターとして自身で取材も行った白坂リサさんは、石破氏の勝利を次のように分析する。「高市さんは防衛について大きな国家観、いかにも安倍派というものを押し出していた。一方で、石破さんは国民や人を守るという点。ある演説で、災害時の避難生活の大変さをおっしゃっていて、個人的には響いたところがある。そういう流れを汲み取って、“次の総選挙で自民党が勝つとしたら石破さん”となった印象を受ける」。
一方、第1回投票で3位だった小泉進次郎氏については、「さすがにないよな、と思っていた」という。「あれだけ“進次郎構文”がいじられている土壌があり、ネタ枠になっていた。会見でフリーの記者に“知的レベルが低い”と言われたことに対して、言葉のナイフに花束で返すようなことがあったが、あれも準備してきたんだろうなと。それで急激に株が上がることはなく、逆に冷静になって考えようと」と語った。
Age Well Japan代表の赤木円香氏は、「周りにいる30代、40代の経営者たちは、“小泉さんになったら変わるんじゃないか”“上の世代がやってきたことを変えてくれるんじゃないか”という期待感は強かった。白坂さんとの年齢差は10歳ぐらいだと思うが、ここまで違うんだなというのは衝撃だった」と述べていた。(『ABEMA Prime』より)
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