■「入院を決断しなかったら家で呼吸が止まっていた」

 小堀さんは救急搬送されたが、ギラン・バレー症候群だとはすぐにわからなかった。入院翌日、呼吸ができなくなり、ICU(集中治療室)へ移ったが、「医師から入院するかどうかを聞かれ、『念のためにしたい』と。入院を決断しなかったら、家で呼吸が止まっていたかもしれない」。その後、人工呼吸器を装着し、4カ月半もの入院生活を送ることになる。「ICUに入ってからは、足を5センチ持ち上げられるだけで激痛だった」。

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 ギラン・バレー症候群の治療や新薬の開発に従事する千葉大学病院脳神経内科の三澤園子准教授は、「小堀さんの場合は進行が早い“劇症型”で、スムーズに人工呼吸器が付けられたのは非常に良かった」とコメント。劇症型は「すごく稀ということではない。呼吸ができなくなる場合もあれば、自律神経障害から、不整脈などで亡くなる患者もいる」という。

 原因として、通常は風邪や下痢、細菌の感染症(カンピロバクター食中毒など)、新型コロナ感染、予防接種といった「先行感染」から始まる。先行感染に対し、体内では細菌やウイルスを攻撃する抗体ができるが、一部の抗体が誤って自身の末梢神経への攻撃を始めてしまう。その結果、筋力低下や手足のしびれにつながるという。これに三澤氏は、「カンピロバクター食中毒が1000人起きても、ギラン・バレーを発症するのは1人とされる。遺伝的な背景もあるのではと言われている」と補足した。

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 通常であれば「4週間ほどの間にピークを迎えて、良くなってくる」というが、小堀さんに先行感染はあったのか。「風邪かはわからないが、だるさや目ヤニが出る感覚があった。ただ、仕事に支障が出るほどではなかった」と、気にかけなかった。

 発症する可能性は「0歳から100歳まで全年齢層にある」と三澤氏。「0歳の赤ちゃんが『バタバタしない』と母親が小児科に連れてきたケースもある」。また、「コロナ禍ではマスクをしている人が多く、ギラン・バレー症候群も減った」ということだ。

■小堀さんが回復したらやりたいこと
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