将棋の藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)に佐々木勇気八段(30)が挑戦する第37期竜王戦七番勝負が10月5日、東京都渋谷区の「セルリアンタワー能楽堂」で開幕した。4日に行われた前夜祭に出席した佐々木八段は、「藤井竜王と対局できることを嬉しく思う。最善を尽くしたい」と自身初のタイトル戦への決意を語った。
約250人が集った前夜祭。自身にとって初めてのタイトル戦を目前に、佐々木八段の表情は最高の環境で将棋を指せることの喜びに満ちていた。
「挑戦が決まってから本日まで、本当にあっという間だった。自分自身も少しでも強くなれるように過ごしてきたつもりです。藤井竜王は、棋譜だけでなく盤を挟んでみないと分からない強さがある。終盤まで良い勝負で戦いたい」
“主役”としてマイクを握った佐々木八段は、曇りのないキラキラとした瞳を輝かせながら意気込みを語った。
初めてのタイトル戦だが、事前準備もカンペキな様子だ。番勝負は、通常10時開始の予選対局とは異なり午前9時に開始される。そのため、「それに合わせて普段の生活から9時に盤に向かうようにするなど“竜王戦モード”にした」とアジャストしてきたという。
開幕局は「セルリアンタワー能楽堂」と、名の通りの大舞台が用意されている。佐々木八段は、「能楽堂という神聖な舞台で盤の前に座ってみて気持ちが引き締まった。藤井竜王と2日制の持ち時間8時間という対局ができることを嬉しく思う。明日から最善を尽くしたい」と挨拶。チャレンジャーとして、未知の世界に飛び込む覚悟はできている。