将棋の第37期竜王戦七番勝負第1局が10月5・6の両日、東京都渋谷区の「セルリアンタワー能楽堂」で行われ、藤井聡太竜王(名人、王位、王座、棋王、王将、棋聖、22)が挑戦者の佐々木勇気八段(30)に117手で勝利。4連覇を目指す最高峰タイトル防衛戦で、好スタートを切った。注目の第2局は、10月19・20日に福井県あわら市の「あわら温泉 美松」で指される。
絶対王者が最高峰タイトル防衛戦で好発進を遂げた。タイトル戦初登場となった佐々木八段を挑戦者に迎えた注目シリーズ。開幕戦は振り駒で藤井竜王の先手となると、得意の角換わりが志向された。挑戦者の佐々木八段は序盤で用意の作戦を披露し、前例のない将棋へと展開した。
道なき道を行く一局は、じりじりとした神経戦へ進行。超難解な中盤戦では、佐々木八段が1時間超えの長考を重ねるなど、持ち時間をたっぷり投入した。果敢な攻めを見せているものの、どの筋もリスクをはらんでいるとあり、簡単には手が出せない様子。一方の藤井竜王は自然な手を重ねてペースを握ると、そのままリードを拡大させていった。時間に追われる佐々木八段は、苦しい時間が長く続く。秒読みの中で必死に食らいついたが、藤井竜王は揺るがない。挑戦者の粘りを許さず、鋭く勝利を決めた。
藤井竜王は、「角換わりというより相掛かりのような展開になり、急所が掴みづらく非常に難解な一局だった。難しい将棋の中で一手一手考えることができ、充実感のある時間を過ごすことができた。第2局以降も面白い将棋が指せるように頑張っていきたい」とコメント。
一方、敗れた佐々木八段は「終始先手にうまく指されていて、見切られていた。一局に見えそうでじっくり考えてみると苦しい将棋だったと感じた。本局は悔いの残る手はそんなになかった。結果は仕方がないので、切り替えてやっていきたい」と次なる戦いへ視線を向けていた。
この結果、藤井竜王のシリーズ成績は1勝0敗に。防衛4連覇に向けて幸先良い一歩を踏み出した。しかし七番勝負は始まったばかり。藤井竜王が王者の歩みを続けるのか、佐々木八段がアジャストして反撃を開始するのか。注目の第2局は10月19・20の両日、福井県屈指の温泉街としてしられる芦原温泉の旅館「美松」で予定されている。
(ABEMA/将棋チャンネルより)