「旅を使って心を元気にする、これがメンタルヘルスツーリズムだ」
立教大学現代心理学部の小口孝司教授は、旅行がメンタルに与える影響を研究している。小口教授は25歳~39歳の社会人を次の3つのグループに分けて調査した。
「海水に浸かるタラソテラピー体験をする」
「体験・交流型ツーリズム(観光や花摘み体験)をする」
「ツーリズムなし」
対象者全員に「主観的ストレス度」をヒアリングする質問と唾液を採取し、ストレスによって分泌されるホルモン、コルチゾールの濃度が旅行の前と後でどう変わるかを調べた。
結果、旅行に行かなかった人はコルチゾールの変化が見られなかったが、旅行に行った方のコルチゾールは下がり、特にタラソテラピーを体験した人はさらにコルチゾールが下がり、ストレスが低減したという。
小口教授は「メンタルに良い旅行」の要件として「ストレスの原因から心理的距離を離すこと」を挙げた。
「自然に近い場所に行ったり、自然に触れることが大事。また、旅には様々な形があり“その人が行きたい形”が重要だ。例えば、一人旅をしたい人は一人で行けばいい、誰かと行きたい人は気の置けない人やパートナーと行けばよい。自分が今いる環境と異なる環境に行くことで、ストレスの原因から心理的距離を置くことができる」
さらに小口教授は「疲労の度合いによっては遠方への旅は難しいため、近場のスポットなどでストレスケアし、元気が出てきたら少しずつ遠くに行く」など段階を踏むことが大事だと補足した。
旅行の効果はストレス緩和だけではない。
小口教授によると「海外・被災地でのボランティア、乗馬などアクティビティに挑戦したり上達したりすることは達成感や自信につながる」という。
また、旅行における"想定外"も必要以上に恐れなくていいという。旅での “失敗”も「感じ方次第」で“良い経験”に変えられるのだ。
(『ABEMAヒルズ』より)
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