【セリエA】コモ 1-1 パルマ(日本時間10月19日/スタディオ・ジュゼッペ・シニガーリャ)
日本代表守護神にとっては、ほぼ“ノーチャンス”の失点だった。パルマのGK鈴木彩艶がコモ戦でセリエA2試合ぶりにゴールネットを揺らされたものの、アルゼンチン代表デビューしたばかりの“神童”に決められた一撃は、ファンも「ザイオンは悪くないわ」と嘆く一撃だった。
パルマが1-0とリードして迎えた前半終了間際の45分、不意にピンチが訪れた。左サイドから崩されると、ガンビア代表FWのアリュー・ファデラに右足で丁寧なラストパスをゴール前に送り込まれる。これに反応したのがMFニコ・パスだ。
パルマのDFボトンド・バログが足を伸ばしてかろうじて触ったものの、こぼれ球に反応したニコ・パスが左足一閃。鈴木にとっては至近距離の1対1の状況となり、身体を広げて“面”を作ったものの、脇を通されるコントロールショットで同点弾を許してしまった。
鈴木はポンと手を叩いて悔しさを表現したが、ファンがSNSで「決められたやつはしょうがなかったなあ」「ザイオンはノーチャンスだったな」「ザイオンは悪くないわ」「流石にこれは難しいな」と擁護したように、防ぐことは極めて難しいシュートだった。
それどころか、決めた相手を褒めるべきかもしれない。当然、DFの対応に課題はあるだろうが、ゴール前にスルッと抜けた動きとトラップが秀逸であり、ニコ・パスのセリエA初ゴールには現地ファンもSNSで「なんて才能だ!」「素晴らしい!」「振りが速い!」と驚嘆していた。
ニコ・パスは、13歳からレアル・マドリードのカンテラで育ち、昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグではトップデビューも飾った現在20歳のビッグタレント。今夏に加入したコモでは、左足の技術と創造性がセスク・ファブレガス監督 に評価されてレギュラーとして活躍する。10月15日のボリビア戦(FIFAワールドカップ2026南米予選)ではアルゼンチン代表デビューを飾り、その試合でいきなりリオネル・メッシのゴールをアシスト。メッシからも称賛され、“神童”と呼ばれる逸材だ。
一方の鈴木も今夏加入したパルマの守護神として信頼を掴んでおり、33分には至近距離のシュートを超反応で防ぐなど好セーブを見せ、失点はこの1つのみ。パルマの勝点1獲得に貢献した。
試合後、現地メディア『PARMAlive』は鈴木のプレーに「6.5」の評価をつけ、「コモの多くのクロスに注意を払い、至近距離からのヘディングシュートにも本能的な反応を見せた。他の場面でも好成績を収め、注意力とポジションを保っていた。ゴールシーンは仕方のないものだった」と“及第点”と評価された。
パルマの次戦は10月27日のエンポリ戦。活躍に期待したい。
(ABEMA de DAZN/セリエA)