悟空じゃなければ第1話にしてとっくに物語が終了していたレベル……。アニメ「ドラゴンボール」の主人公・孫悟空(CV:野沢雅子)とブルマ(CV:鶴ひろみ)の初めての出会いは、エンディングテーマ「ロマンティックあげるよ」とは程遠い、あまりにも衝撃的なものだった。
【映像】ブルマが車で悟空を轢いてしまった瞬間(7分30秒ごろ~)
学校の夏休み期間を利用してドラゴンボール探しの一人旅に出ていたブルマは、ドラゴンレーダーの反応を頼りにとある山奥で車を走らせていた。一方の悟空は昼飯にと捕まえた巨大な魚を抱え、「大漁大漁!大漁大漁!」と満足げに家へ戻っている最中だった。
聞きなれない音が聞こえてくることに気づいた悟空が「なんの音だ?」と後ろを振り向くと、爆走するブルマの車が悟空目がけて突っ込んできた。ブルマは悟空を発見すると慌ててハンドルを切ったが間に合わず、悟空を思い切り撥ねてしまった。
衝突の勢いで大木に叩きつけられた悟空。ブルマが「ああ……跳ねはねちゃった……」と恐る恐る目を開けると、悟空は少し驚いた様子こそ見せたものの何事もなかったかのように普通に動いていた。
「あー!生きてる!」と目を丸くするブルマに対して、「おのれ!怪物め!さてはオラの獲物を横取りしようってんだな!」と見当違いな怒り爆発させた悟空は、車を下から持ち上げると「そうはさせないぞ!」と思い切り投げ飛ばした。純朴そうな可愛らしい少年が見せたまさかのタフネスぶりに当時の視聴者もさぞ驚いたことだろう。
しかし、次のシーンで誰もがさらに驚くことになる。車ごと投げ飛ばされたブルマは「よくもやってくれたわね!この化け物!」といきなりの“化け物認定”したうえで拳銃を構えると「こんにゃろ!」と5発を発砲したのだ。銃弾は少なくとも悟空の頭部に2発、腕に1は確実にヒットした。
しかし悟空は頭を押さえながら「なんだ今のは!妖術か!?」と痛がる素振りを見せたのみ。ブルマは「ゲー!ゲゲッ!なんで死なないの?」とあ然としていた。ドラゴンボールの世界だからこそ笑い話で済んだが、いきなり子供を跳ね飛ばしたうえ発砲するなんて、ブルマはかなりの凶悪犯である。現代の日本であれば「救護義務違反」「銃刀法違反」「発射罪」「殺人未遂罪」などに問われる可能性もあり、1話目にして刑務所行きが決まっていたかも……。なにはともあれ、悟空が強靭な肉体の持ち主で本当に良かった。
1986年から1989年に放送されたTVアニメ「ドラゴンボール」は、「週刊少年ジャンプ」(集英社)で1984年から1995年まで約11年間連載され、シリーズ累計発行部数が全世界で2億6000万部を超える鳥山明の同名漫画が原作。以降も「Z」「GT」「改」「超」など数々のアニメシリーズが制作され、20作を超える劇場版も公開されたほか、数多くのゲームシリーズにもなっている大ヒット作だ。40周年を迎えた2024年、故・鳥山明氏が原作・ストーリー・キャラクターデザインを手掛けた完全新作アニメシリーズ「ドラゴンボールDAIMA」も10月11日より放送されている。
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