闇バイトで実行犯を募る強盗事件が、全国各地で相次いでいる。実際にどういったやり方で犯罪に加担させられているのか。元暴力団員や特殊詐欺で逮捕された男性に闇バイト強盗の実態について聞いた。
横浜市では強盗殺人事件が起き、実行役の宝田真月容疑者は「SNSで『日給15万円以上』の投稿を見つけ闇バイトに応募した」といった趣旨の供述をしているという。
昨年1月に東京・狛江市で発生した強盗致死事件では、永田陸人被告に無期懲役が求刑され、判決は11月7日に言い渡される予定だ。
2019年には東京・江東区で、マンション住人の女性(当時80歳)が死亡する事件があった。強盗致死罪などに問われた実行犯の男3人は10月22日、東京地裁から無期懲役の判決を言い渡された。
2022年に広島市の時計買取店兼住宅で金品を奪ったとして、強盗傷害などの罪に問われた33歳の男は、東京都や神奈川県の事件にも関与し、実行役を送り届ける運転手役などを担ったと認定され、10月24日に東京地裁から懲役13年の判決を言い渡された。
過去には、闇サイトを使い、死刑判決が出た事件もあった。愛知県名古屋市で2007年、帰宅中の女性(当時31歳)が殺害された事件では、犯人3人のうち2人が無期懲役となり、1人が死刑執行されている。
そんな「闇バイト」の実態を知るべく、元暴力団員に話を聞いた。覚醒剤使用や傷害で逮捕歴が5回以上あり、現在は大阪・西成で生活困窮者に、うどんの無料提供を行っているキンちゃん(49)は「僕らの時代ではあり得ない犯罪だ」として、「タイやフィリピンはゆるい。お金で対処できる国だった」と振り返る。
かつて六代目山口組傘下の六代目奥州会津 角定一家 二代目軍竜会会長だった堀和雄氏(63)は、「暴対法と暴排条例で締め付けが厳しい。知恵を絞ってシステムを作り上げていくのは当然だ。はやりだした頃は暴力団組員たちが考え、闇バイトを集めて収益を得たが、トップまで使用者責任で裁かれる。今は“半グレ”が闇バイトにたけていて、暴対法は適用されない」と説明する。
実行犯については「駒としてしか扱っていない。生きようが死のうが関係ない」と語る。「鉄砲玉」とされる実行犯については「組織の一員で、無期懲役になれば組織として守る。刑務所へ行っても差し入れする」というが、「闇バイトの子には情も何もない、使い捨てだ」と指摘する。
「闇バイト」の応募ではないながら、5年前に友人の紹介で特殊詐欺をして逮捕された男性(27)にも話を聞いた。「受け子の下で、キャッシュカードでATMから引き出す出し子だった。一番末端で、現金の輸送役に現金を渡した」と振り返る。
当初は「友達に仕事を手伝ってくれと言われて、詐欺だとは分からなかった」と語る。「行ってみたら、逃げられない状態に脅された。『上が暴力団に関わっている』と追い込まれて、やるしかない状態になった」。
男性は自首して、懲役3年6カ月の刑となった。「『やってしまった』という気持ちがこみ上げる。定年退職した人から大金取ると困るだろうと。取り返しの付かないことをしたと思っている」。そして、実行役になる可能性のある人々には、「おいしい話には裏があるぞと言ってあげたい」と呼びかけた。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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